田中邦衛「健康不安説」地井武男、高倉健、菅原文太・・・友人次々亡くなり精神的落ち込み

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   私は田中邦衛(82)という役者が大好きだ。「北の国から」(フジテレビ系列)の黒板五郎役は絶品だったが、若大将シリーズの青大将や高倉健との網走番外地シリーズなど、名脇役という言葉がこれほど当てはまる人はいない。

   もう40年近くになるだろうか、雑誌のグラビア撮影のために京都のイノダコーヒーで待ち合わせ、京の町をブラブラしながら1日話を聞いたことがある。ボソボソとした話し方、ときどき熱くなるとツバを飛ばしそうになるところはスクリーンそのまま。(高倉)健さんのことを語るときは優しい目が嬉しそうに大きく垂れ下がった。多くの人間をインタビューしてきたが、このときほど暖かいものに包まれるような雰囲気で話を聞いた経験は、その後もない。

   田中は麗澤短期大学卒業後、中学の代用教員を経て、俳優座養成所の試験に3度目で受かった。だが、俳優としてスタートを切ってからは順風満帆そのものだった。彼の姿を久々に見たのは2012年8月、「北の国から」で共演した地井武男のお別れの会だった。

   今年6月に「北の国から」のプロデューサーだった恩人の葬儀に参列しなかったことから、田中の健康不安説が再燃していた。『週刊ポスト』によれば、<現在、田中は介護付き有料老人ホームに入居している。月額利用料は家賃に食事、管理費等を含めて20万円超と、その地域の相場を考えても一般的なもので、有名俳優が入居する施設としては決して豪華なものではない>

   田中を知る関係者がこう話している。<「ホーム内では車椅子での移動が基本。部屋で過ごすことが大半ですが、食堂やホールに顔を出す時は介護士が付き添います。(中略)やはりテレビで見かけた頃より痩せた印象は否めません。毛染めもやめているので白髪も目立ちます。ただ身体的に問題があるわけではありません。気懸かりなのは、最近はふさぎ込みがちなことだそうです」>

   田中の知人によれば、<「地井さんが亡くなった時は本当に落ち込んで、余りの憔悴ぶりに(高倉)健さんが自宅に電話をかけて気遣ったほどでした。でも、その健さんも昨年11月に亡くなり、続けて親交のあった菅原文太さんまで逝ってしまった。最近の邦衛さんが、精神的にも肉体的にも相当参っているだろうことは容易に想像できました」>

   年齢的なものより精神的なもののほうが大きいのであろう。田中の奥さんは、本人はしっかり足を治してから帰ってくるといっていると話し、気弱になっているところは微塵もないというが、心配である。地井の葬儀のとき田中が呼びかけたように、こういいたい。「クニ兄、もう一度スクリーンで会いたいよ」

警視庁は「春画はわいせつ図画」!週刊ポスト編集長1年に2回も呼び出し

   先週、『週刊文春』の編集長が「春画」を掲載したために3か月の休養をとらされたことを書いた。今週、新谷学氏から木俣正剛氏に編集長が替わった。木俣氏は知っているが、剛毅な人である。この問題についてひと言あるかと誌面を舐めるように見たが、まったく触れていなかった。

   週刊ポストがこの件について識者たちの意見を聞いている。鹿島茂氏(フランス文学者)は「『週刊文春』の春画グラビアを問題にする必要は全然ないと思います」、小林節氏(憲法学者)は「春画はあちこちで見ることができる。出版物も多数ある。ということは、社会通念上、春画は違法扱いされていない。よって、春画はすでにわいせつではない。そのように考えて問題はありません」

   呉智英氏(評論家)は<「ポストならいいが文春なら問題だ」>とし、性表現には<「(学校の近くにラブホテルは建てられないというような)ゾーニング」>が必要で、性表現は自由だが、見られる場所は制限があってしかるべきだという。ロバート・キャンベル氏(日本文学者)も<「雑誌はいつ誰がみるかわかりません。春画を掲載することで、不愉快に思う人もいると思います。その扱い方には、配慮が必要です」>

   批判派の意見は、私がヘア・ヌードブームを作り出した頃と変わっていない。「見られる場所を制限しろ」というのは性表現の自由を蔑ろにするもので、週刊ポストはいいが週刊文春はいけないという「理屈」もさっぱりわからない。

   週刊文春がジャ-ナリズム雑誌だというのならば(ほんとはそう思っていないのかもしれないが)、性表現の自由にも堂々と挑戦してお上と一戦交えてほしいものである。

   気になるのは、週刊ポストがこう書いていることだ。<警視庁は春画を「わいせつ図画」だとみなし、本誌を含め春画を掲載した週刊誌数誌を呼び出し、『指導』を行っている。本誌編集長もこの1年間の間に2回、呼び出しを受けた>

   その際、以前から春画を掲載してきているのに呼び出しを受けなかったが、警視庁が方針を変更したのかと問うたが、明確な返答はなかったという。何ら明確な基準を示さず、思いつきのように呼びつけ恫喝するやり方は戦前から何も変わっていない。権力は一番手を突っ込みやすいところから入ってくる。

昔、講談社には告訴されたときの担当部署がなく、年配の人が一人でその処理をやっていた時期があった。私がやった記事が某女優から名誉毀損で訴えられた。その人は、こんなものは謝って早くケリを付けちゃいましょうといった。私はこちらの取材に落ち度がないのだから謝る必要はないと突っぱねたが、その御仁、芸能なんかはどうでもいい、政治権力とやり合うときは全力で闘いましょうと、私を無理矢理連れて女優に頭を下げさせ、いくばくかのカネを払った。

   それからしばらく後、政治家のスキャンダルをやって3億円の名誉毀損裁判を起こされた。その時は件の人は闘うどころではなく、真っ青になって何の役にも立たなかった。何をいいたいかというと、性表現の自由と闘えないものが言論・表現の自由と闘えるわけがないということである。

「税務当局のほうがよく知っているあなたの懐具合」マイナンバーですべて筒抜け

   今週はマイナンバーについて各誌が報じている。まずは『週刊現代』から。近未来シミュレーションである。野田勝也さん(62歳・仮名)は今年(2015年)の春に父が亡くなった。その後、父の書斎から埃を被った1キロ分の金のインゴットが見つかった。全部で10本、約500万円相当のインゴットだったという。彼と弟が150万円分ずつ、母は200万円分を受け取ってすぐに換金した。そうすると「税務調査実施のお知らせ」が届いた。

   マイナンバーで小口のおカネの動きが捕捉されるようになって以降、出所不明の入金が当局に監視されているということを、野田さんは知らなかった。しかもこの場合、申告をしなかったペナルティとして、税額の20%の「無申告加算税」も追徴課税されてしまうのである。

   だが、マイナンバーとは国民から漏れなく税金を取ろうというシステムなのだから、こんなことは当然なのだ。<「マイナンバーがすべての銀行口座と紐づけられれば、税務当局は端末上で、その人、その家族の資産や納税状況の全体像をいとも簡単に把握することができるようになります。『当局のほうが、当人よりもはるかにその人の資産を知り抜いている』ということが当たり前になるでしょう」(相続に詳しいある税理士)>

   また税理士の北田朝雪氏はこう付け加える。<「サラリーマンの中には、講演や原稿執筆などで収入を得ている人もいます。これまで税務署は、収入額の少ない人の支払い調書までいちいち確認していませんでしたが、これからは、支払元が支払先の人のマイナンバーを把握しなければならないので、少額のアルバイト気分であっても必ず補足される。副業の収入をポケットに入れて済ませる、ということもできなくなります」>

   これからは誰がどこにどんな口座を持っているか、当局はマイナンバーを使って見通すことができるのだ。<彼らが夢見るのは、ありとあらゆるカネの動きが逐一国税局に報告され、毎年、年度末が近付くと全国民に「あなたが払わなければいけない税金は〇〇円です」と書類が届く、税金を取りっぱぐれない世の中だ。現に、国民番号制度を早くから導入済のヨーロッパ各国や韓国では、こうしたシステムがすでに完成している>(週刊現代)

   マイナンバーとデノミをやれば、国民の虎の子まで全部透明になり、国にむしり取られる。

   週刊ポストはマイナンバーは犯罪の温床になると報じている。ITジャーナリストの三上洋氏は<「役所などの公的機関を騙って電話をかけ、『マイナンバーが流出したので登録抹消のために現金が必要』といった現実には起こり得ない状況を説明し、高齢者からカネを騙し取ろうとする事例が全国で報告されています」>

   捜査関係者もこういう。<「公的機関の人間を装った人物が訪ねてきて、『マイナンバー導入で自動的に銀行口座も登録されるが、あなたのデーターベースに不備があったので確認に来た』といった話をし、質問票に家族情報などを記入させる手口が出てきた」>

   別の捜査関係者も、水商売で働いていることを会社に知られたくない女性を狙って、「架空名義のマイナンバーを買わないか」と持ちかける詐欺が出てくるといっている。騙された女性も警察に相談しにくいから、泣き寝入りしてしまう。総務省、厚労省などのマイナンバー関連予算はこの2年間だけで総額約2200億円に上るという。

   折も折、10月13日に厚生労働省でマイナンバー制度に関連したシステムの整備・発注を担当する中安一幸容疑者(情報政策担当参事官室室長補佐=45)がIT関連業者に便宜を図り数百万円を受け取ったとして収賄容疑で逮捕された。

   中途半端なままマイナンバー制度を進めれば、喜ぶのはオレオレ詐欺の連中ばかりであろう。

「野球賭博疑惑」まだ広がるのか?パリーグ元外野手と暴力団との接点

   巨人軍の野球賭博『事件』を週刊文春が大きく扱っているが、どうも話が分かりにくい。簡単にまとめると、巨人軍に所属している福田聡投手(32)と笠原将生投手(24)が、野球賭博をやっていたことが発覚したと巨人軍側が発表し、NPB(日本野球機構)に告発したのである。

   週刊文春はこの疑惑の渦中にいるA氏にインタビューしているが、A氏は40代で税理士を目指して愛知県内の大学院に行っている人物だという。彼は知人の紹介で笠原に会い、ギャンブル好きということで意気投合した。ゴルフや麻雀をやるようになり、今年になって笠原が福田を連れてきた。もちろん福田もギャンブル好きで借金も相当あるそうだ。

   巨人側の説明では、福田はAから野球賭博に誘われ、全国高校野球選手権大会の複数の試合に賭けたが大損した。Aから「遊びだからプロ野球で取り返せばいい」と持ちかけられ、また賭けたが負けて百数十万円の損となったそうだ。Aはそのカネを取るために、福田のいるジャイアンツ球場へ行ったら法務部の人間が出てきて、こちらで確認して電話するといわれたそうだ。だが、Aに連絡なしで、5日後に突然、球団発表となったのだそうだ。

   これを読むかぎり、笠原は野球賭博常習者と思われる人間と付き合っていたし、福田が野球賭博に手を染めていたのは間違いない。だが、福田は今季1度も一軍での登板はないから、69年に西鉄ライオンズの永易将之投手が八百長試合に関与していた「プロ野球の黒い霧事件」のような大事にはならないのではないか。

   では、なぜ巨人軍はクライマックスシリーズを控えたこの時期に公表したのか。<福田に連なる人脈のなかに球団と暴力団との接点とみられているパ・リーグに所属した四十代の元外野手がいる。彼は野球賭博や裏カジノで有名な山口組弘道会系の有力組織「稲葉地一家」の最高幹部と個人的に親しい間柄だという>(週刊文春)

   まだまだ広がっていくのか。この事件の進展は予想がつきかねるようである。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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