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「税務当局のほうがよく知っているあなたの懐具合」マイナンバーですべて筒抜け

   今週はマイナンバーについて各誌が報じている。まずは『週刊現代』から。近未来シミュレーションである。野田勝也さん(62歳・仮名)は今年(2015年)の春に父が亡くなった。その後、父の書斎から埃を被った1キロ分の金のインゴットが見つかった。全部で10本、約500万円相当のインゴットだったという。彼と弟が150万円分ずつ、母は200万円分を受け取ってすぐに換金した。そうすると「税務調査実施のお知らせ」が届いた。

   マイナンバーで小口のおカネの動きが捕捉されるようになって以降、出所不明の入金が当局に監視されているということを、野田さんは知らなかった。しかもこの場合、申告をしなかったペナルティとして、税額の20%の「無申告加算税」も追徴課税されてしまうのである。

   だが、マイナンバーとは国民から漏れなく税金を取ろうというシステムなのだから、こんなことは当然なのだ。<「マイナンバーがすべての銀行口座と紐づけられれば、税務当局は端末上で、その人、その家族の資産や納税状況の全体像をいとも簡単に把握することができるようになります。『当局のほうが、当人よりもはるかにその人の資産を知り抜いている』ということが当たり前になるでしょう」(相続に詳しいある税理士)>

   また税理士の北田朝雪氏はこう付け加える。<「サラリーマンの中には、講演や原稿執筆などで収入を得ている人もいます。これまで税務署は、収入額の少ない人の支払い調書までいちいち確認していませんでしたが、これからは、支払元が支払先の人のマイナンバーを把握しなければならないので、少額のアルバイト気分であっても必ず補足される。副業の収入をポケットに入れて済ませる、ということもできなくなります」>

   これからは誰がどこにどんな口座を持っているか、当局はマイナンバーを使って見通すことができるのだ。<彼らが夢見るのは、ありとあらゆるカネの動きが逐一国税局に報告され、毎年、年度末が近付くと全国民に「あなたが払わなければいけない税金は〇〇円です」と書類が届く、税金を取りっぱぐれない世の中だ。現に、国民番号制度を早くから導入済のヨーロッパ各国や韓国では、こうしたシステムがすでに完成している>(週刊現代)

   マイナンバーとデノミをやれば、国民の虎の子まで全部透明になり、国にむしり取られる。

   週刊ポストはマイナンバーは犯罪の温床になると報じている。ITジャーナリストの三上洋氏は<「役所などの公的機関を騙って電話をかけ、『マイナンバーが流出したので登録抹消のために現金が必要』といった現実には起こり得ない状況を説明し、高齢者からカネを騙し取ろうとする事例が全国で報告されています」>

   捜査関係者もこういう。<「公的機関の人間を装った人物が訪ねてきて、『マイナンバー導入で自動的に銀行口座も登録されるが、あなたのデーターベースに不備があったので確認に来た』といった話をし、質問票に家族情報などを記入させる手口が出てきた」>

   別の捜査関係者も、水商売で働いていることを会社に知られたくない女性を狙って、「架空名義のマイナンバーを買わないか」と持ちかける詐欺が出てくるといっている。騙された女性も警察に相談しにくいから、泣き寝入りしてしまう。総務省、厚労省などのマイナンバー関連予算はこの2年間だけで総額約2200億円に上るという。

   折も折、10月13日に厚生労働省でマイナンバー制度に関連したシステムの整備・発注を担当する中安一幸容疑者(情報政策担当参事官室室長補佐=45)がIT関連業者に便宜を図り数百万円を受け取ったとして収賄容疑で逮捕された。

   中途半端なままマイナンバー制度を進めれば、喜ぶのはオレオレ詐欺の連中ばかりであろう。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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