関西ホッケー協会の前事務局長が15日(2015年10月)、巨額詐欺の容疑で逮捕された。肩書を利用した巧妙な手口で、被害者は分かっただけでも今年1月から4月までに38人、被害額は3億5000万円にのぼる。
逮捕されたのは谷口年哉容疑者(51)で、知人の男性に新幹線の回数券を174枚、約238万円分購入させ、代金を払わずに騙し取った疑いだ。逮捕される前にテレビ局の取材に応じ、「お金を騙し取った意識はあったのか」と聞かれると、「結果的にそうなっているんで、その意識はあります」と悪びれることなく答えていた。
協会会長と自分のハンコ押した偽装書類
被害にあった30代の女性によると、「いいアルバイトがある」と声を掛けられ、「新幹線の回数券をクレジットカードで購入してほしい」と持ちかけられたという。このとき関西ホッケー協会の事務局長を名乗り、選手が移動するために使う新幹線の回数券を協会の代わりに購入してくれれば、見返りに購入額の5%の手数料を支払うと話した。
その際に、谷口は「平成25・26年度関西ホッケー協会交通費締結書」というもっともらしい書類を見せ、そこには「新神戸‐東京間の新幹線回数券2冊(16万5000円)を基本に、ギフト券8000円をキャッシュバックします」と書かれ、関西ホッケー協会会長の北河原公敬と事務局長の谷口年哉のそれぞれの印鑑が押してあった。
女性は「はんこが押されてある状態だったのですっかり信用してしまった」が、「約束通り代金が振り込まれたのは初めのころだけで、買った回数券のうち150万円位が返済されていない状態で、今だにリボ払いを続けている」と言う。
600万円を騙し取られた別の女性も、「JOC(日本オリンピック委員会)から助成金が下りるし、日本ホッケー協会がバックについているからとはっきり言うので、疑う余地がなかった」と話す。