麻生財務相はおととい14日(2015年10月)の札幌での講演で、べらんめえ口調で安倍首相が打ち出したばかりの「消費税・軽減税率の導入」に真っ向から異を唱えた。党のナンバー2の発言に、どんなその内幕があるのか。
「いっときますけど、財務相は(軽減税率に)反対ですよ、本当は。だって、やれやれ・・・という人多いんだもん。だから問題なの。面倒くせぇって、みんないってるよ」
口をとがらせてこう語った。
財務省案は「マイナンバーで還付金」
2017年4月の消費税10%アップのときに負担軽減策をどうするかで、与党内、政府内で意見が分かれていた。財務省の描いた「マイナンバーを使ってあとで還付する」案が示されたが、公明党がこれに異をとなえ、各方面からの批判も強く、安倍首相は撤回して「軽減税率」にカジを切った。
麻生発言は財務省がこれに納得していないことを表明したわけだが、すでに首相が決めていることに公然とかみつくのはやはり異例だ。それとも、お得意の口が滑っただけなのか。
司会の夏目三久は「なぜ政府内で意見が違うのですか」
前田浩智(毎日新聞前政治部長)が解説した。軽減税率は消費税を10%に引き上げ後も生活必需品は8%に据え置くというものだが、品目をどうするかを検討中で、これだと支払いのとき面倒なことになる。財務相案は所得によって不公平が出るかどうかの議論はあるが、少なくともレジは10%1本ですっきりする。
安倍首相は安保法制で公明党に借り
夏目「なぜ首相は軽減税率にしたのでしょうか」
前田「総理は来年夏の参院選を見据えているんです。ここで公明党は軽減税率を公約にしています。公明党の選挙協力がないと自民党の選挙はおぼつかないのが現実なんです。先の安保案法成立の過程で、公明党内では反対が多かったのを党の執行部は最終的に賛成にまとめた。安倍総理は公明党に『借り』があるんです。その借りを返す意味で、軽減税率論議のスタートラインに立った」
それはわかった。では、なぜこの時期にあえて麻生財務相が吠えたのか。そこの解説が欲しかった。