大手も大手、三井不動産グループが建設・販売した大型マンションが傾くという、信じられないことが起こっていた。地盤調査を一部で実施せず、施工記録も差し替えられていたというから悪質である。
マンションは横浜市都筑区に大型商業施設と一体開発で2007年に完成した。最高12階建ての4棟があり、700世帯が入っている。うちの1棟で昨年11月(2014年)、別棟との渡り廊下の手すりがずれていることに住民が気付いた。
三井側が調べたところ、手すりが2.4センチ、床面が1.5センチほどこの棟が低くなっていた。この棟には52本の杭が打ち込まれているが、うち28本を調べた段階で、6本が支持層と呼ばれる強固な地盤に届いておらず、2本も打ち込みが不十分とわかった。
さらに今月(2015年10月)、杭の施行記録が差し替えられていたと、三井不動産から横浜市に報告があったという。
国交省と横浜市「建築基準法違反」で調査
杭を施工したのは下請けの旭化成建材だった。現場は複雑な地形で、一部では支持層が深いところにあった。支持層に届いていない杭はここに集中していた。専門家は「考えられないこと。手抜きですね」という。国土交通省と横浜市は建築基準法違反の疑いで調査するという。
住民は「頭にきています。謝って済む問題じゃない」「ズレをもどしたら終わりというわけにはいかない」という。傾き自体は「ビー玉を転がしてもわからない」「この1、2か月ドアの締まりが悪くなった」という程度らしいが、今後どう対応するのかが問題だ。
きのう14日(2015年10月)に三井不動産が行った住民への説明会は深夜にまで及んだ。住民は安全対策と金銭面の補償を求め、三井不動産は1か月後をめどに修繕方法を提案するとした。資料によると、工事の期間は1年前後になるという。