ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智・北里大学特別栄誉教授の研究で救われたのは遠い異国の人だけではなかった。横浜市に住50歳代女性は2年前、全身の痒みに悩んでいた。かきすぎて皮膚がぶつぶつになったほどだった。これが半年間続いた。「原因が分からなくて、本当につらかった」という。
皮膚科を受診すると、どうやら疥癬(かいせん)とわかった。専門医によると、0・4ミリの小さなダニが皮膚の角層に卵を生んで、その幼虫が引き起こす。人から人へうつる感染症だ。介護施設に入っていた母親から女性や姉妹、父親に感染したらしい。みながかゆくてたまらなかったが、大村さんが開発した薬「イベルメクチン」でどんどん回復していった。
女性は「救われました。本当に素晴らしい。感謝しています」と話している。
獣医師「イベルメクチンができるまで深刻な病気でした」
沖縄や奄美地方の風土病といわれる糞線虫症は、土中にいる体長2ミリの虫が小腸に寄生して起こす病気で、免疫力が下がると死ぬこともある。沖縄では高齢者を中心に今も2万5000人が感染している。イベルメクチンはその特効薬でもある。
琉球大学付属病院の平田哲夫講師は「お礼を申し上げたい。先生は沖縄の恩人という気持ちです」と称える。
犬のフィラリア症は蚊を媒介にした寄生虫が心臓や肺動脈に入り、肝臓や腎臓に障害を起こす。イベルメクチンはその予防薬で、治療薬でもある。「これができるまでは深刻な病気でした」(獣医師)、「えっ、もしかして、あのノーベル賞の?。改めて感謝です」(愛犬家の女性)
司会の羽鳥慎一「僕らが知らないだけで、本当に身近なところにあったということです」
宇賀なつみキャスター「国内でも幅広く役立っているのですね」