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ついに拙宅にもかかってきた「オレオレ詐欺」マイナンバーで被害者続出が目に見えるよう

   私事で恐縮だが、きのう(10月7日)、ついに私の所にも「オレオレ詐欺」がやって来たことを書かせていただきたい。朝8時半頃、メシを食っているところに電話が鳴った。カミさんが出て話しているのを聞いていると、次男のTからの電話のようだ。「T、声がおかしいけどどうしたの?」と聞くカミさん。「風邪引いたの?だから気を付けなさいといっているのに」

   その後は、出さなくてはいけない書類を間違って出してしまった。後でその会社から電話が入るので聞いてほしいということらしい。

   電話が終わってカミさんに、「こんなに朝早く、本当にTなのか?オレオレ詐欺じゃないか」と聞くと、「Tだと思う」と得心顔。だが、私が家を出た後に電話がかかってきた。「日本〇〇の者のですがTさんの件で」と若い声。だが、そのいい方がぎこちなかったので、カミさんがピンときて、相手に息子とどういう関係か質すと電話は切れた。

   すぐに息子に電話すると、「オレそんな電話かけてない」という。実際に詐欺にあったわけではないが、私の家の家族構成、全員の名前を知っている者がかけてきたことは間違いない。

   どうやってカネを取ろうと思っていたのかは,これだけでは分からない。カミさんはまだ認知症3歩手前ぐらいだし、カネのことに関しては人の二倍も三倍もシビアだ。それに自慢ではないが、我が家には何百万円なんてカネがないから、さして心配することはないのだが。そんな我が家へ電話をかけてくるというのは、相手側が我が家の貯金残高まで把握していないということの証左である。

   何をいいたいのかというと、今週も週刊文春が「マイナンバー そこが知りたい!」という政府広報のような記事をやっているが、マイナンバーがこのまま進んでいけば、銀行口座はもとより、病歴や年金情報まで入ることになる。そんなものを高齢者が持ち歩いて、スーパーで消費税の払い戻しがあるからと出し入れしたら、どうなるか考えただけでも恐ろしくなる。

   この記事の中でも、マイナンバーが流出して被害に遭った場合、政府は全額補償してくれるのかという読者の問いに、「今のところ補償は考えていません」と内閣官房担当室はにべもない。日本人の3人に1人が高齢者になる時代にこのような物騒なものをつくるのは、オレオレ詐欺の連中においしい餌を与えるようなものである。ETCとマイナンバーはまったく違う。即刻中止すべきだ。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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