国谷裕子キャスターが冒頭に「いま、身近な、あるものを突き詰めた日本の研究に世界の注目が集まっています」と伝える。バブル(泡)だ。泡といってもただの泡ではない。肉眼では確認できない1000分の1ミリほどの大きさにした「ウルトラファインバブル」で、さまざまな驚きの効果がある。
また、このバブル分野は「日本が独走している革新的技術」(国谷)で、業界団体では2030年には12兆6700億円の市場規模になると予測している。
洗剤使わずにトイレ掃除
酸素バブル(ウルトラファインバブル)水を農作物や水産物に使うと、成長を促す効果があることがわかっている。広島県の養魚場では、バブル水で育てたトラフグが通常のものに比べて1.5倍の体重に成長した。普通の泡は空気中に抜けてしまうが、小さなウルトラファインバブルは浮力がなく、泡が水中にとどまる。このため、水中の酸素が5倍に増え、魚の成長を促したと考えられる。
そのほか、窒素を使ったバブル水は魚の鮮度を長く保ち、医療分野では殺菌力を持つオゾンのバブル水が細菌やウイルスを殺す切り札として期待されている。九州大学の大平猛特任教授は「(バブル水は)いままでは不可能だったところに入り込み、徹底した細菌の破壊が期待できる」と説明する。
西日本高速道路のサービスエリアでは、空気バブル水でトイレを洗浄している。微小な泡が細部にまで入り込んで弾けることで、汚れが落ちやすくなるのだ。慶応大の寺坂宏一教授は「洗剤といった化学的なものを使わず、安全な水と空気でトイレなどを洗えるならば、これは非常に資源の節約になり、環境にも大変有意義です」