強打者でかつ足が速くないとできない「トリプルスリー(打率3割、ホームラン30本、盗塁30)」は玄人好みのタイトルの感があったのだが、今シーズンはセパ両リーグで同時に出た。ヤクルトの山田哲人(23)とソフトバンクの柳田悠岐(26)だ。ともに優勝のカギとなったのは間違いない。
トリプルスリーは日本プロ野球80年の歴史で8人しか達成していない。石井大裕アナが「いかにすごい記録か」と、2人を並べてみせた。
山田哲人 打率.329(2位)、本塁打38本(1位)、盗塁34(1位)
柳田悠岐 打率.363(1位)、本塁打34本(3位)、盗塁32(2位)
山田は3か月連続で月間MVPも獲得し、「チームとしても、個人的にもいい成績を残したので最高だったと思います」とシーズンを振り返った。
野村克也「イケメンだな。モテモテだろ」に「いや、そんなことないです」
90~98年にヤクルト監督として4度のリーグ制覇(日本一3回)で黄金時代を築いた野球評論家の野村克也が山田に聞いた。これが面白い。ノムさんの監督全盛時代、山田はまだ赤ちゃんだった。初めて会って、握手して開口一番、「イケメンだな」
「いや、そんなことないです」
「モテる?結婚してるの?」
「いやしてないです。独身です」
いや、モテモテだ。今年のバレンタインには、チームでトップの300個のチョコが届いた。サイン会も女性ばっかり。ファンは「山田選手が目当て。笑顔が素敵」という。まあ、それはいい。
野村は山田のパワーの秘密に興味があった。「(ボールを)遠くへ飛ばすコツはどこにあるの。人より手首が強いとか、握力が強いとか」
「握力はむちゃくちゃ弱いです」
「それな、強打者の共通点なんだよ」と納得した様子。どういうことか。「おれも弱い。王貞治も弱い」「握力の強い選手は無意識に力に頼る」
山田を指して、「間違いない。一流」と太鼓判を押した。