「世界一ニッポン鉄道」重大弱点!一元IT管理、複雑な相互乗り入れで間に合わぬトラブル対応

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事故は減ったがトラブルは増加

   安部誠治・関西大学教授は「鉄道には安全と安定とが必要です。28年前に国鉄がJRになって、事故(安全)は半分になったが、トラブル(安定)はJRで2倍、民鉄で3倍になった。トラブルが広く波及すると都市機能を脅かすことになります」と話す。

   IT化では通信ケーブルは命だが、日本の鉄道は放火や妨害などの悪意への備えはない。バリアセクションのケースはITに人間が対応できなかった事例だ。30分以上の遅れをいう「輸送障害」はこの15年で3倍、年間5000件を超えている。

   トラブルに備える実例があった。宮城のJR仙石線は線路脇にケーブル類が見当たらない。災害に備えたATACS(次世代列車制御システム)の採用で、運行管 理が無線で行われているからだ。無線基地は複数あるから、ひとつが故障しても 別ルートで指令が出せる。妨害もない。2年後には首都圏の埼京線に導入される予定だ。ただ、金がかかる。

   京急電鉄の運行管理はITの一元管理ではなく、4つの運転区がそれぞれ手作業で1日に700本をさばく。事故が起こっても臨機応変。去年の調査では、10分以上の遅れは月1回未満と群を抜いていた。なんとなくホッとする話だ。

   かつて年間8000~9000件あった鉄道事故はいま800件という。大変な進歩だ。しかし、落雷事故で止まった私鉄で、復旧するまでの4時間、踏み切りが閉ったままチンチンと鳴り続けるのを見たことがある。中央制御なのでどうにもできないのだという。これも進歩というか。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2015年10月1日放送「『世界一の鉄道』に何が~多発する事件・トラブル~」

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