設立70年を迎えた国連は「SDGs(Sustainable Development Goals)=持続可能な発展目標」を全会一致で採択した。スローガンは「誰ひとりとして置き去りにしない」というものだ。
資源を浪費しながら開発、経済発展を続けるといった従来型のスタイルは、貧困や格差、環境破壊を起こし、社会の不安定化、犯罪やテロリズムにもつながる。これでは世界は立ちゆかなくなる、抜本的な対策が必要だという強い危機感から掲げることになった。
事務総長特別顧問「日本など先進国は責任を果たすべきです」
SDGsのとりまとめにあたったアミーナ・モハメッド国連事務総長特別顧問はこう話す。
「多くの低所得国は(経済援助などを受けて)経済成長し、中所得の国になったが、貧困層は置き去りにされた。国内の格差、国と国との格差はともに解決すべき大きな課題です」
具体的には、2030年までに貧困、不平等の是正など、17の分野で169の目標が設定されている。私たちの生産や消費のあり方について、「見直すことを求めている」「人々のライフスタイルにまで踏み込んで、大胆な発想の転換をうながす」(国谷裕子キャスターキャスター)など、これまでになく野心的なメッセージも含まれている。
モハメッド特別顧問「世界人口の6割以上を占める貧困層の国々が経済成長して、日本のようなスタイルになれば、持続可能な世界は無理です。先進国は責任ある発展を目指すべきです」
理想とは程遠い目の前の現実
SDGsに対しては、理想的であるが現実ではない、SDGsは世界一丸となって取り組むべきだが、実際には世界の人も国も内向きであり、自分のことや国益ばかり考えていないなどの指摘もある。
モハメッド特別顧問「閉鎖的になるほど問題は大きくなります。みんなの力を結集することが必要です。持続可能性を追求することは人類の責務だと思います。われわれはよりよい方向に人類を導く責任があるのです。私たちは急がなくてはいけません」