冒頭の城壁が爆破されて粉々になって飛び散る破片がオープニングロールの文字になるところから、「これは何かやらかしてくれるな」と期待してしまう。期待は裏切られることはない。「エーッ、そんなことやっちゃって、次どうするつもりか」と思わせる展開なのだ。そして、さまざまな映像の魔術をこの映画は見せてくれる。
アジトはロンドンの高級テーラー
ロンドンにある高級テイラー「キングスマン」は、実はどこの国にも属さない世界最強のスパイ組織のアジトだった。仕立て職人ハリー(コリン・ファース)は一分の隙もないブリティシュ・スーツで決めている。ハリーは17年前、中東で同僚が自らを犠牲にすることで命を救われた。
同僚の遺児・エゴシー(タロン・エガートン)はロンドンでいまニート暮らだった。ハリーはエゴシーを「キングスマン」候補生としてスカウトする。エゴシーは他の候補生とともにテストを受けることになったが、キングスマンになれるのはたった一人だ。
候補生8人が合宿していると、寝ている部屋がいきなり水が溢れ出し天井まで浸水し溺死しそうになる。もうテストは始まっているのだった。ハリーはエゴシーにこう諭す。「人は生まれた家柄で紳士になるんじゃない。マナーを学んで紳士になるのだ。マイフエア・レディ」のように」。エゴシーは「キングスマン」になれるのだろうか。
スパイの小道具も満載で楽しい。スタンガンのような感電リング、ライター型手榴弾、先端からナイフが出る靴、開けば防弾シールドになり、マシンガンにもなる多機能傘などだ。