「転落死老人ホーム」はらわた煮えくり返る最高責任者の経営感覚「介護食い物に金儲け」
さて、3人の入居者が相次いで転落死した介護付き有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」などを全国展開している株式会社「メッセージ」最高経営責任者・橋本俊明会長(66)を週刊文春が直撃している。記事によると、過去2年間で全国の「アミーユ」施設で5人が事故死、疑いのあるものも含めて9件の虐待が発生しているという。
ここは入居の際のおカネがいらず、月々の費用も多少安いために入居希望者は多いそうで、全国に303施設、総入居者は1万5000人を超え、営業収入は790億円にもなるそうだ。一大介護コンツェルンである。
橋本氏は岡山大学医学部の第一外科医局を経て、81年に橋本胃腸科外科医院を開業した。91年にリハビリ主体の老人保健施設を立ち上げ、そこから介護事業にのめり込み始めたという。当初は、海外の施設を見て日本の介護のあり方に疑問を呈したり、老人に安い値段で施設を提供したいという「高邁な理想」をもっていたというが、大きくなるにつれて理想は金儲けへと変質していったようだ。
介護付き有料老人ホームだから、入居者に対して介護職員が3対1の割合で配置されるべきだが、「全国のアミーユを視察したところ、職員が全然いませんでした」(介護コンサルタント)。他産業との賃金格差を是正するために厚生労働省から支給される「介護職員処遇改善加算」という補助金も、「アミーユ光が丘」の場合はまったく反映されていないという。
週刊文春によれば、橋本会長らの個人資産は140億円以上になるそうだ。岡山県のビバリーヒルズといわれる豪邸に住む橋本氏は、不祥事や経営のあり方にどう答えるのか。説明責任があるのではないかという質問には、個人的には感じていることはあるが、第三者委員会などがあるので、その前にはいわない。会長といっても取締役の一人だからと逃げを打つ。
被害者に謝罪したいという気持ちはあるかという問いには、<「川崎の方は第三者委員会がすぐ迫っていますから。第三者が『それは不可抗力でした』と言ったら『ああ、そうですか』と言うし、『それは責任です』と言ったら『ああ、そうなんでしょうね』という風に考えるだけの話です」>
ここまで書き写してきて、はらわたが煮えくりかえって仕方ない。こんな施設でも頼って入居してくる老人たちやその家族が不憫に思えてならない。まさに貧困ビジネスの最たる施設ではないのか。介護は金儲けの手段。そう考えてこの業界に参入した居酒屋チェーンのワタミが次々に施設を閉鎖し、介護事業から撤退するのでないかといわれている。
老人福祉を根本から見直し、介護に従事する人たちの給与をアップしないかぎり、こうした問題のある施設はなくならないはずである。