日刊ゲンダイ創業者・川鍋孝文氏死去!権力にいつも噛みついてた硬骨ジャーナリスト
反権力といえば、徹底した権力批判を1面に載せ続け一時代を築いた夕刊紙「日刊ゲンダイ」の創業者・川鍋孝文氏が先週亡くなった。講談社の先輩で、私が入社4年目に週刊現代に異動になったときの編集長だった。元毎日新聞の大森実氏を起用して始めた「直撃インタビュー」が評判になり、部数も週刊現代の評価もうなぎ登りの時代だった。
小柄だが威圧感のある編集長で、怒鳴られると編集部全体がシーンとなった。編集長を辞めてしばらくして、日刊ゲンダイ立ち上げのために数人の社員たちと講談社を離れた。立ち上げからしばらくは苦しかったようだが、ロッキード事件が発覚した頃から、新聞・テレビでは絶対できない田中角栄批判が評判になり部数も増え、夕刊紙ナンバー1の地位を揺るぎないものにした。
銀座が好きだった。ときどき会うと「元木!しっかりやれよ」と叱責されたが、根はシャイな人である。こんな思い出がある。週刊現代に異動するしばらく前に、四谷の割烹居酒屋で出会ったことがあった。女将が川鍋さんに「こちら元木さん」と紹介すると、離れた席から立ってきて「川鍋といいます」と名刺を差し出したのだ。私のほうが慌てて「私も講談社の~」というと、嫌な顔もせず「そうなのか」とニヤッと笑って戻っていった。
今、川鍋氏健在ならば安倍政権批判を「日刊ゲンダイ」でどう繰り広げるのだろう。常に在野の精神を持ち続けた硬骨のジャーナリストの死を悼む。