「盗まれた名刀」持ち主に戻らない理不尽・・・被害側が買い取り費用負担

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   盗まれた重要文化財の名刀が元の持ち主に戻らないまま、36年ぶりに山形・鶴岡市の「致道博物館」で一般公開されている。刀は「備前長船住元重」の作で、徳川四天王の筆頭、出羽庄内藩主だった酒井家が所蔵していた。後ろから袈裟懸けに斬られても、気づかず振り返ってやっとわかるほどの凄い切れ味から「見返り元重」と呼ばれたとの言い伝えがある。

鶴岡・酒井家所有の「備前長船住元重」

   その名刀は昭和61年8月に鶴岡市にある酒井家の蔵から盗まれたが、29年たった昨年(2014年)、これを持っているという人物から酒井家の18代当主、酒井忠久氏のもとに連絡があった。何人かの持ち主を経て所有することになったこの人物は、酒井家が元の持ち主と知り、1億円で買い戻しできないか持ちかけてきたのだという。しかし、酒井氏は「本人のものを本人が買い取るというのは納得できない」と断った。

   これを伝え聞いた刀剣研究家で大阪の会社社長が、「早く手入れをしないと刀が朽ちてしまう」と酒井氏の了解を得て、代わりに1億円を出して買い取った。その動機を刀剣研究家は「国の宝だからです。大切に次の世代に健全な形で渡してあげる責任があると思う」と話す。

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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