判断誤らせる「今まで何もなかったから・・・」
一方、石川幹夫さんは避難した。「午前中に仕事を止めて自宅に戻ると水位は7・9メートルと2メートルも上昇していました。その時、消防の人が『堤防が切れた。逃げろ』と言ってくれたんです。車に荷物を運んで、そのまま走りました。日頃から防災の地区リーダーやっていたし、大震災の話も聞いていたので、自分の身を防ぐのは自分が、と思っていました」
静岡大学防災センター・牛山素行教授は言う。「近くに住んでいれば、山や川が普段の姿とは違うことがわかるはずです。これはおかしいと。その判断が危機を防止する一歩なんです。
市町村が出す『避難準備情報』や『避難勧告』、最終的には一番強い『避難指示』も出たり出なかったりです。情報はキチンと聞くべきですが、判断は個々人の物です。とくに、今まで何もなかったので大丈夫は一番よくない判断だと肝に銘ずべきです」
(磯G)