日本列島に押し寄せる「危険生物」サメ、猛毒タコ、強烈クラゲ、デング熱蚊、殺人マダニ・・・

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   この100年間で日本の気温は1.1度上昇した。温暖化と人・モノの行き来が活発になるグローバル化で、これまで日本にはいなかった熱帯、南洋の生物たちが続々と日本にやって来て定着しているという。

   この夏に各地の海水浴場を騒がせたサメも、南洋を生息域とする種類が関東に現れた。海水温が例年になく高く、29度以上と沖縄近海とほぼ変わらない温度になっていたためだ。

   「サメにしてみれば、住みやすいところへと移動しているにすぎないんです。エサとなる魚を追っかけていて、あれだけの数が出たのではないでしょうか」と、生態系の変化にくわしい五箇公一・国立環境研究所主席研究員は解説する。

黒潮の海水温上昇で熱帯の生き物が関東にも生息

   日本沿岸を流れる黒潮は、世界のほかの海域とくらべて温度上昇が目立っている。温暖化で赤道付近の大気が暖められると空気の循環が活発になり、東から西へと吹く貿易風も強まる。その風に乗った温かな流れがフィリピン沖でぶつかり、北上して日本付近にやってくるためだ。

   五箇研究員は「関東の海も熱帯と変わらないぐらいの環境になっていた状況なので、サメ以外の魚やいろんな生き物が熱帯から渡ってきた可能性が非常に高いですね」と話す。

   サメ以外に熱帯に生息する猛毒のヒョウモンダコが鳥取、神奈川まで北上していた。高い水温で活発に動くというアンドンクラゲによる被害も続出している。

中国スズメバチに駆逐される対馬のミツバチ

   陸ではデング熱を媒介するヒトスジシマカが年々北上し、東北北部にまで到達した。致死率の高いウィルスを持つ可能性のあるマダニは南方の種が西日本から東日本に浸透し、3日(2015年9月)に石川県で死者が出た。

   長崎県・対馬では、強力な繁殖力を持つツマアカスズメバチが最初に発見されてからわずか3年で対馬全体に生息域を拡大した。もともとは中国にいたハチだが、温暖化で冬を越せるようになり、生息域を世界中に広げているという。フランスでは7人が刺されて死亡している。

   対馬ではハチに刺されてケガをした人が出ており、農作物の収穫にも影響がある。ある農家はカボチャの収穫が3割も減ったと話す。受粉に欠かせないミツバチをツマアカスズメバチが食べてしまうからだ。

NHKクローズアップ現代(2015年9月8日放送「サメ!凶暴バチ! 温暖化で『危険生物』があなたに迫る?」)

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