<37.5℃の涙>(TBS系)
蓮佛美沙子こんな主役もありだよね!地味で幸薄顔で無器用・・・病児保育士の苦労知らしめた功績

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   主役は民放ドラマ初主演、蓮佛美沙子で、病気の子供の世話をする病児保育士だという。キムタク×検察官、北川景子×探偵の対極にあるような、地味な女優×地味な職業の組合せで本当にドラマになるのかと不安を覚えつつ見てみたが、回を重ねるにつれ、絶妙な人選だったと感心した。

   蓮佛演じる杉崎桃子は、笑顔の苦手な新米の病児保育士である。顔も体もとっても薄い。仕事ぶりも自信がなく不器用で、失敗も多い。

安達祐実、MEGUMI、青木さやか・・・ゲストの濃さ強調される絶妙バランス

   訪問型の病児保育士なので、子供の自宅に行って預かるのだが、その母親たちが一癖も二癖もある強者ぞろいだ。シングルマザーでバリキャリ、いつもキリキリしている中越典子、娘の仮病を信じようとせず、指摘する桃子を責める安達祐実、カリスマ・ママタレントで、娘を甘やかし放題の矢田亜希子、病児保育をベビーシッター代わりに利用し(月1回は無料券がもらえる)、自分のリフレッシュ時間に使うMEGUMI、保冷剤を使って一時的に子供の熱を下げて無理やり登園させる青木さやかなど。

   毎回ゲストという形で出てくる母親たちだが、私生活であれこれ乗り越えて来た人たちもいるせいか、みな個性豊かで、思わず「・・・お疲れさまです」と言ってしまいそうになる。

   蓮佛は彼女たちの言動に戸惑い、時に罵倒され、それでもくじけずに病児保育の仕事に邁進する姿がとてもよく似合っている。主役が薄い方がゲストの濃さが強調されていいのかもしれない。

   加えて桃子自身、自分の母親(浅野温子)から虐待を受けていたので、そのトラウマにより笑顔がひきつってしまうという設定なのだ。浅野温子は久しぶりに見たけれど、顔もスタイルもほとんど衰えを感じさせないところがすごい。が、それがいわゆる毒母の怖さをひきたてる。家を出た桃子を夫の介護要員として呼び戻し、「桃子、お母さんのアップルパイ、大好きだったのよね~」と妙にテラテラした顔に完璧な巻き髪でにっこりする浅野温子と、「食べたことないけど」と首をかしげつつモサモサと食べる幸薄(さちうす)顔の蓮佛美沙子。これはもうホラーだ。

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