自民党の総裁選がきょう8日(2015年9月)告示され、安倍晋三・総裁の無投票再選が決まった。出馬の意向を表明していた野田聖子・前総務会長は、安倍サイドの切り崩し工作の結果、立候補に必要な推薦人20人を確保できず、出馬を断念した。
安倍氏はこの朝、都内のホテルで開いた出陣式で「まだ道半ばであります。継続は力。皆様とともにその責任を果たしていきたい」と語った。会場には自民党所属の国会議員402人のうち、約300人が出席した。
「自由闊達な議論を交わす総裁選を実現したかった」
午前8時に会見した野田氏は「総裁選実現のために出馬をめざしましたが、力及ばず挑戦を断念致しました。ご理解いただける説得力がなかった」と無念の思いをにじませた。さらに、「3年に1度の総裁選は事実上の首相選びであり、政治理念や政策を広く国民に訴える貴重な機会です。同志の議員からは『民主主義には全会一致は無効だ』という言葉をいただきました。自由闊達な議論を交わす総裁選を実現したかったですね。自民党は多様性が威力。今後も開かれた信頼される自民党でありたい」と話した。
これはまさに正論だ。野田氏は首相のキャッチフレーズ「この道しかない」に、「この道も、あの道もある」と掲げて、各派閥が首相支持に雪崩を打ったことにも、「悪しき自民党の密室政治への先祖返りだ」と批判していた。
野田氏のバックで古賀誠・元幹事長らが動いたが、古賀氏が名誉会長を務める岸田派をはじめ、首相陣営の菅義偉官房長官、細田派幹部が、野田支持の議員の支援組織にまで働きかける激しい切り崩しを展開して、野田氏の推薦人確保を阻止した。
野田氏は推薦人になった議員、支援者について、「奇跡的な数字をいただいた。心の中に一生とどめおきたい」と感謝を述べ、 「支えてくれた夫、ガッツポーズをしてくれた息子にも感謝したい」と語った。