デザイン会社社長「お仲間じゃないと選ばれない」
最終決定はだれの責任で行われたのか。デザイン会社代表の津久井将信氏は「業界の体質があるんです。北京五輪のエンブレムはだれでも応募でき、1万点から選ばれた。今回は応募104点です」と批判する。応募資格は「7つの指定広告賞を2回以上受賞した者」というきびしいものだ。「賞をとる人は同じ顔ぶれ。審査員も同様。ある種のコミュニティーに属していないといけない、不公平性がある」(津久井氏)
今回の騒動では、インターネットの検索能力のすごさが際立った。次から次と似ているものがひっかかる。これを拡散したのもネットである。デザインの世界では、ネットで資料を収集し、これを参考に著作権を守りながら自分のデザインを作っていくのはごく普通のことだという。あるデザイン会社では、そうしてできた作品はまず特許庁のデータベースで国内商標と照合する。さらに専門家の手で海外のチェックもする。「あとで問題になると客に迷惑がかかるから」と津久井社長はいう。それがデザイナーの矜持だろう。佐野氏は恐ろしく杜撰だったということか。
もしベルギーのデザイナーが声を上げなかったらどうなっていたか。他のパクリも表に出ず、エンブレムも栄光に包まれていたに違いない。いわば瓢箪から駒。よかったのか悪かったのか。第2幕を待つことにしよう。
ヤンヤン