「払い過ぎたから197万円返せ」年金機構ずさん事務処理の被害1万件
年金でさらに腹の立つことがある。『週刊現代』が後追いしているが、日本年金機構でまたまた業務のずさんさが明らかになった。8月24日(2015年)、朝日新聞が1面トップで報じたところによると、年金機構では発足から5年で事務処理のミスが1万件を超えたというのである。
ミスといえば軽く聞こえるが、事態は深刻だ。朝日新聞の集計によると、このミスによって年金の「未払い」や「過払い」など、私たちが受け取る年金額に間違いがあった合計金額は約89億円分にもなった。2014年度だけで、年金額が100万円以上間違っていた事例が656件もあったというのだから腹が立つ。
朝日新聞の記事に紹介されている埼玉県在住の70歳の男性のケースでは、妻が昨年11月に自身の年金の金額を確かめようと年金事務所を訪れた。すると年金機構側に「これまで支払った年金には過払いがあった」「本来は男性が届け出をして受け取りを止めるべきものだった」と責められたうえ、過去5年分の過払い金、約197万円の返納を求められたというのである。
ふざけるなである。ジャーナリストの岩瀬達哉氏はこう話す。<「年金機構の業務マニュアルでは、『年金の支払いに関する職員の事務処理については管理者がチェックすること』となっているのですが、そのチェックがなされていないことが最大の原因です。
機構側は『人手不足』を理由に上げますが、実際は管理者や職員の能力不足、使命感の欠如が原因だと思います」>
ここで立ち止まって、この国の福祉の形をどうしていくのかを根本から考え議論しないと、日本は年寄りがますます生きにくい国になる。