「2020年東京五輪・パラリンピックのエンブレムが白紙撤回されることが決まりました」
司会の夏目三久が冒頭伝えた。大会組織委員会の武藤敏郎事務総長がきのう1日(2015年9月)、記者会見して「盗作とは考えていないが、いまや一般国民の理解を得られなくなった」と使用中止の理由を述べた。
その決定を受けて、デザイナーの佐野研二郎氏(43)は深夜になってホームページに「模倣や盗作は断じてしておりません。しかし、批判やバッシングから家族やスタッフを守るために取り下げを決断しました」とコメントを出した。
疑惑否定のつもりが...原案公開で墓穴
今回の問題は発表直後からネット上で疑惑が出ていた。ベルギーの劇場のロゴが似ていることに始まり、飲料会社の景品のトートバッグや動植物園のマークの盗用、類似など指摘が相次いだ。
このため、組織委は疑惑を打ち消すために先週の28日(2015年8月)に佐野氏の原案を公開し、「まったくのオリジナル」として盗用という指摘を全面否定した。ところが、これが新たな火種になったのは皮肉だった。原案そのものに類似した作品があることがわかり、さらにエンブレムを使用するイメージ画像が流用ではないかと指摘され、これについては本人も無断転用を認めた。
まあ、二転三転、新国立競技場の白紙撤回とそっくりだ。
再公募の前に責任はっきりさせろ
久江雅彦(共同通信・編集委員兼論説委員)「一連の疑惑で特徴的なのは、すべてネットによって一般の市民たちから指摘されたことです。次のデザインも同じことを繰り返すことは許されません。多少のお金と人手をかけても、似たようなデザインはないのか、後々に問題にならないのか、そうした観点からネットも含めて徹底的にリサーチする態勢を早急につくってほしいですね」
新しいエンブレムは再公募するというが、責任をはっきりしないまま新しい態勢が果たして可能なのか。