『週刊新潮』『週刊文春』が五輪エンブレム「盗用疑惑」が取り沙汰されている佐野研二郎氏に手強い相手が出現したと報じている。ベルギーのリエージュ劇場のロゴデザインを担当したオリビエ・ドビ氏がIOC(国際オリンピック委員会)を相手取りベルギーの裁判所にエンブレムの使用差し止めと、それを使った企業や公的機関に5万ユーロ(約690万円)の賠償金を払わせるよう提訴したことは報じられている。
しかし、佐野氏はもちろんのこと、IOCも東京五輪組織委員会も耳を傾けようとしなかったが、ドビ氏の代理人に超大物弁護士がついたため、佐野氏側の苦戦が予想されるというのである。その人はアラン・ベレンブーム氏だ。ベルギーのブリュッセル在住のジャーナリストは週刊新潮で、アラン氏はベルギーを代表する有名弁護士で、ベルギー王の顧問弁護士も勤めていると話している。
大阪芸術大学の純丘曜彰教授はアラン氏の辣腕ぶりをこう評価している。<「何しろ、彼はヨーロッパにおける芸術分野の著作権法制を作り上げた人物ですからね。今回のような裁判では抜群の強さと影響力を持っています」>
もちろんベルギーでIOC側が負けたとしても、その法的効力は日本には及ばないが、ドビ氏側は日本でも同じ訴訟を起こすことを考えているといわれる。アメリカ、ヨーロッパでもと訴訟の連鎖が起きれば、取り返しのつかない事態になると、著作権法に詳しい平野泰弘弁理士が指摘している。
もしスポンサー側がエンブレムを使えないことになれば、IOC側に損失補填を求めてくる。そうなるとIOC側は佐野氏に損害賠償を請求してくるという。週刊新潮によれば、東京五輪の「国内スポンサー収入」は1500億円を超えたといわれるそうだから、その半額750億円以上の支払いが佐野氏に降りかかることもあり得るというのである。
もはや「呪われた東京五輪」というしかない次々に起こる難問に、東京五輪組織委員会の森喜朗会長たちが対応できるはずはない。五輪までに新国立競技場が完成するのかどうかも不透明なのだから、早く五輪開催を辞退したらどうか。
市民巻き添え心配な山口組分裂抗争!街中でドンパチやヒットマンの流れ弾
『アサヒ芸能』では「山口組の夏休み」などというお気楽な特集をやっているが、それどころではない。山口組が大分裂の危機にあると新聞各紙が報じている。1984年、竹中正久氏が山口組四代目組長に就任することに反対し、山本広一山口組組長代行を支持する一派が「一和会」をつくり、抗争を繰り広げた。抗争の中で竹中組長が殺され、一和会側の死者19人、負傷者49人、山口組側の死者10人、負傷者17人、警察官・市民にも負傷者4人、逮捕者は560人を数えた。
抗争中に一和会幹事長の佐々木道雄組長の取材に行ったことがある。周囲を警察が固めた佐々木邸で会ったが、大広間には一斗樽や米俵がいくつも並び、晩秋だったと思うが、知り合いから届いたというふぐちりをごちそうしてもらった記憶がある。
佐々木組長は終始ご機嫌で、威勢のいい話をしていたが、唯一困るのが好きなゴルフができないことだといっていた。警察からゴルフはもちろん、人混みにも出るなといわれているそうで、家の中で酒を飲むしかやることがないと愚痴っていた。連れがタバコを持てばサッと若いのが来て火をつけてくれた。壁際にズラッと並んだ若い衆たちの機敏な動きに感心したものだった。
一般週刊誌も報道合戦を繰り広げたが、当初の予想通り山口組の勝利に終わった。だが、今回は山口組を脱退するのが傘下最大の組織「山健組」など10数団体だというから大勢力である。
もし双方が譲らず大抗争に発展すれば、「山一」戦争の比ではないはずだ。あの当時と比べれば山口組の力も落ちているから、そう大事にはならないのかもしれないが、山口組の分裂は暴力団の勢力図を塗り替えるはずである。週刊誌も注視すべきだ。