「小学6年(2012年)のときは81.5%、中学3年(2015年)になると61.9%」
きのう25日(2015年8月)、文部科学省が発表した全国学力テストと同時に行われた「理科が好きか」というアンケートの結果だ。同じ質問を3年後に実施したもので、小学のときは好きだったのに、中学になると嫌いになったという人が増えたというわけだ。
また、中学3年の理科の正答率は53.5%で、なかでも観察から結果を読み解く設問は正答率48.1%と最も低く、4人に1人が無回答だった。
身の回りの技術・興味と授業に大きな格差
小中理科教育に詳しい東京学芸大学の高森久樹博士は、こうした結果について「自分の知識と身のまわりで使っている技術の間の格差が激しすぎて授業に現実味がない」と指摘する。
中学に進むと、授業内容が難しくなり、身近に感じられなくなる。それが顕著になるのが中学2年の2学期の電圧、電流、抵抗の関係を表す「オームの法則」だ。これが壁になり、理科に挫折してしまう生徒が多いという。高森博士は「中学になると受験勉強になり、詰め込み式の暗記にならざるを得ない。そうすると、ますます面白くなくなる」と話す
思い当たる人が多いと思われるが、コメンテーターの久江雅彦(共同通信編集委員兼論説委員)はこんなことをいっている。「文科省は大学で理科系を中心に社会に役立つ教育を重視する方向になっています。理科離れといっても、嫌いな子に無理はできない。大学に入る時、人文社会系も含めて幅広い選択をできることが大切ではないでしょうか。理科離れも人によってはしようがないところがありますから」