警視庁はきのう20日(2015年8月)、振り込め詐欺グループのメンバーだとして70代くらいの女の映像を公開した。高齢者からキャッシュカードを預かり、ATMから95万円を引き出した。
今年2月、東京・葛飾区の70代の女性に男から電話があった「あなた用に介護施設の入居枠を買い取った。口座を借りたい。1000万円を振込みたい」という。女性は介護施設の話に心当たりはなかったが、男の話を信じてしまった。男は「キャッシュカードを借りたい。係のものが伺う」と話す。そして現れたのは70代くらいの女で、カード2枚を渡してしまった。
カードを受け取った女は千葉・松戸駅前や都内のATMから合計95万円を引き出した。警視庁が公開したのはATMに現れた女の画像だ。
「受け子」「出し子」を担当
女の身長は約145センチ、短髪でメガネをかけていて、黒っぽい服で茶色のショルダーバッグを肩にかけている。画像はかなり鮮明で、知っている人なら即座に「あの人」と特定できそうだ。
振り込め詐欺はリーダー、指示役の下に、電話でだます「架け子」、現金やカードを受け取る「受け子」、口座から引き出す「出し子」がいる。「受け子」「出し子」は若者が多かったが、この事件では高齢女性がやっていた。
国民生活センターは「詐欺グループに高齢者がいるというのは見聞きしたことがありませんね。新しい手口かもしれません」という。警視庁は2月に事件がわかったときにセンターに注意を呼びかけなかったのか。
詐欺に詳しい紀藤正樹弁護士は、高齢女性だと警戒心が緩むうえ、高齢者同士の繋がりで介護などの個人情報も得られるのではないかという。犯行に関わったのも、単に金儲けというほか、何らかの理由で脅された、あるいはだまされている可能性もあるという。