中国・天津市の大規模爆発から1週間が経過した。中国政府が発表したところによると、死者は114人、負傷者692人、行方不明57人に上っている。爆発した倉庫には40種類、約3000トンの有害物質が保管され、猛毒のシアン化ナトリウムが700トン含まれていたという。倉庫を所有する会社経営陣10人を警察当局が拘束したことも明らかになった。
ただ、残る有害物質には具体的にどんな物質が含まれていたか、爆発する危険があるのになぜ放水したのかなどは明らかにされていない。
その一方で、天津市の警察当局は「犠牲になった戦友たち」というタイトルの映像をしきりに流している。いちはやく爆発現場に駆けつけ犠牲になった消防士たちの姿を美談調に記録したもので、アメリカの9・11の時の消防士たちの活躍を彷彿とさせる内容だ。
これにコメンテーターの玉川徹(テレビ朝日ディレクター)が怒った。「消防隊員がかなりの数で犠牲になっていることは分かるが、シアン化合物に水をかけたら爆発することを当局は知らされていなかったのか、当局が隠ぺいしていたのか。そこが明らかになっていないのにこれはないでしょう」
「化学物質が空中に充満している」「雨には猛毒」
中国事情に詳しい富阪聰拓殖大教授は「中国は事故が起きると毎回のようにやる映像なんです。頑張って救出しているという自分たちの立ち位置を見せるのが狙いでしょう」という。
中国国家インターネット情報弁公室は「ネット上でデマを流した」として18のウエブサイトを永久閉鎖、32のウエブサイトを1か月の閉鎖処分にした。デマとされたのは「爆発で化学物質が空中に充満している」「雨には猛毒があり、あたれば病気になる」「天津市内が混乱、商店で強奪が起きている」などだ。ネット上でデマが飛び交うのも、当局がきちっと事故の真相を情報開示していないからだ。