お盆休みの帰省ラッシュが始まった。各高速道路下りは13日(2015年8月)朝が渋滞のピークという。渋滞メカニズムの第一人者である東京大先端科学技術研究センターの西成活裕教授が、渋滞の原因、渋滞に巻き込まれたらどうするか、渋滞防止の裏ワザを伝授した。
実は一番動かない「追い越し車線」
東京を起点にした各高速道路下り路線の渋滞ポイントは、関越道が所沢IC~花園IC、中央道が稲城IC~小仏トンネル付近、東名高速は川崎IC~伊勢原バス停だ。なぜこのポイントがいつも渋滞するのか。
共通する原因の一つはサグと呼ばれる坂道になっていることだ。西成教授は「緩やかな上り坂なのでドライバーがアクセルを踏んでいてもと減速状態になり、後続の車がブレーキをかけ、連鎖によって渋滞が起こります」という。関越道の花園ICは坂道プラス盛り上がっている橋、中央道の小仏トンネルを抜けたところは坂道プラスカーブ、東名の伊勢原バス停付近は坂道プラス圏央道と小田原厚木道路からの合流があり、それらが複合して渋滞が長くなる。
では、渋滞にハマった時はどの車線を選べばよいか。高速道路は走らないというタレントの高木美保を除いて、全員が「追い越し車線」と答えたが、西成教授によるとこれは間違いだ。データを分析すると、渋滞にはまった車の4割が追い越し車線に逃げようとする。逆に一番左側の車線は2割5分しかない。西成教授は「追い越し車線にはいくな!」という。
渋滞している高速道路を下りて一般道を選ぶのは正解か。高速道路に沿った下道の一般道路は9割が混んでおり、渋滞していても高速道路を下りない方が一般道路より2倍以上速いという。
過去最も長かった渋滞は135キロ、通過に7時間
最後に、渋滞回避のテクニック。西成教授によると「ドライバーが意識して40メートルの車間距離を維持して走行すれば渋滞は起きない。車間距離は一種の貯金で、渋滞が近づくと貯金をうまく使ってブレーキを後続車に伝えずに走行できる」と指摘している。
ちなみに、日本で最も長時間渋滞したのは、1990年8月12日の名神高速と中国自動車道にまたがった下り滋賀・瀬田西IC~兵庫・山崎ICの135キロで、通過するのに7時間かかった。世界はもっとすごい。昨年6月のサッカーW杯ブラジル大会「ブラジルVSメキシコ」戦の時、サンパウロ市で300キロ(関越道の東京~新潟間)渋滞した。