鹿児島県薩摩川内市の九州電力・川内原発1号機が11日(2015年8月)10時半、制御棒が抜き取られ原子炉が再稼働に入った。14日に運転が開始され、9月上旬に営業運転に入る。
猛暑でも原発なしで電力は十分賄える状態が続き、強い反発があるなか、現地の様子をテレビ朝日の飯村真一アナが伝えた。
原子力規制委員会「絶対安全、事故ゼロと申し上げてるわけではない」
午前6時ごろから原発1号機の建物がある正門前の道路は規制がしかれ、その前に再稼働反対派の車5台が陣取り、「ストップ再稼働!」を訴えた。
司会の羽鳥慎一「地元に方々は再稼働をどういう思いで見ているのでしょうか」
飯村は「地元の人たちはおおむね賛成のようでしたね」と報じ、その理由をこう話した。「この原発が稼働したのは35年前です。いろんな意味で生活に密着していて、原発がなくなると生活のリズム、サイクルが完全におかしくなる。原発がなくなることは考えられないということのようです」
将来起きるかもしれない事故の不安より、目の前の生活優先ということなのだろうが、政府は安全性や事故の責任の所在については曖昧のままだ。安倍首相は「世界で最も厳しい規制基準をクリアしたと原子力規制委員会が判断した原発について再稼働を進めていく」と発言したが、原子力規制委に責任転嫁し距離を置いた感じは否めない。その原子力規制委の田中俊一委員長は「絶対安全ということも申し上げないし、事故ゼロということも申し上げられない」という。
「福島原発事故」原因未解明、被害者避難暮らしの中での再稼働強行
再稼働を押し切った九電はどう考えているのだろうか。「万が一の事故の責任は、当然として(九電に)あると考えているので、さらなる安全性、向上に務める」という。
「曖昧なルールのままの再稼働ということですね」という羽鳥の疑問に、コメンテーターの青木理(元共同通信記者)が次のように再稼働を批判した。「4年前の福島の大爆発で放射性物質が大量に撒き散らされました。一時、東京を含む東日本が壊滅するのではないかという寸前までいき、その事故収拾のメドすら立たず、数万人がまだ漂流状態で再稼働とはとても納得いきませんよ。
百歩譲って当面必要なんだとしても、再生エネルギーに全力で取り組むとか、脱原発の道筋をつけるならまだしも、それすら感じられなくなっています。昔のまま動かしたいという姿が見え、もはや正気の沙汰ではない」
これだけ反対意見があるなかで再稼働に動いた九電も賛成した地元住民も、事故が起こったときの復旧、補償に税金を一切使わないということなのだろうか。でないと理屈に合わない。