中国・北京が2022年の冬季オリンピックの開催地に選ばれた。先週31日(2015年7月)にマレーシアのクアラルンプールで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会で決まった。08年の夏季に続く同一都市で夏冬開催は初めてだ。
ただし、北京にはハンディもある。それをどう克服するか。お手並み拝見である。
前代未聞!人工雪オリンピック
開催決定の報を受けて、北京では五輪会場周辺でお祭り騒ぎが繰り広げられたが、日本と違って、あまり金の心配をする人はいなかった。決定の決め手も資金力だった。
北京の泣き所は雪がほとんど降らないことだ。スキーやスノーボードなどの雪上競技は北京市北部の延慶や160キロ離れた張家口で行われる。ここも気温は低くなるが雪は少なく、ほとんどが人工雪になりそうだという。人工雪を作るには、当然ながら大量の水が必要だが、北京周辺は水資源が乏しい。
招致レースで対抗馬となったのはカザフスタンのアルマトイだった。北京とは対照的に天然雪が豊富で、雪上競技の選手たちは当然こちらを望んでいたはずである。
それにも関わらず北京に決まったのは、施設と運営の費用に心配がなかったからだ。メーン会場はじめ夏季大会のものがそのまま使えたり、転用できたりが大きい。おまけに世界第2位の経済大国だ。7年後に経済がどうなっていても、国家の威信をかけてやる体制の国である。
「粉雪の日本は魅力的だ」「やっぱり北海道かな」
すでに国民の間でスキーブームが起こっているという。スキー人口は2000万人といわれ、スキー場も各地に作られている。東京などでいわゆる「爆買い」をする中国人観光客のなかには、スキー用品をそろえてスキー場へ直行する人もいるんだそうだ。スポーツ用品店では「ここ2年くらいで増えた」という。
北京の五輪が決まり、この冬は日本各地のスキー場で中国人観光客の「爆滑り」などということもありうる。いや、絶対のそうなると踏んで、早くも動き出すところもでている。長野五輪でメーンになった志賀高原。これまで中国とは縁薄かったが、張家口のスキー場と情報交換をして、中国人観光客に期待している。志賀高原は温泉だってあるから強い。
中国人観光客に聞くと、「中国は人工雪だから粉雪の日本は魅力的だ」「やっぱり北海道かな」などという。中国政府はスキー人口を3億人くらいにしたいといっているそうだ。何をやってもケタが違う。
上重聡キャスター「北京に決まったとき、雪のイメージがないのでちょっとびっくりした人は多かったですよね」
高橋真麻(フリーアナウンサー)「人工雪でも、オリンピックの選手がやりやすければいいなと」
川村優希(医師)「2000年にはスキー人口はたった1万人だったのが2000万人ですからね。五輪でまた加速するのは日本にとってもチャンスですよ」
坂口孝則(経営評論家)「2020年から22年には、中国人観光客が1000万人を超えるという試算もあります。22年は習近平さんが次の政権に橋渡しをする年で、GDPでアメリカを抜くのではないかともいわれています」
何が起ってもおかしくない中国。いいことだけに願いたいものだ。