人口22万人の茨城県つくば市に305億円の運動公園は必要か。その賛否を問う住民投票が2日(2015年8月)に行われ、反対6万3482票、賛成1万5101票と5万票近い大差で市民がノーを突きつけた。
地方自治体が国の補助金を当て込んで分不相応なハコモノを作る傾向が依然として後を絶たないが、住民がこれにストップをかけた。
自分が経営する病院へバス増便
運動公園建設は推進役の市原健一市長(63)によると、「これからのつくば市を発展させるためにはスポーツの持つ力で何とか街づくりに生かしたい」という趣旨で、つくば市駅から約8キロ離れた約46ヘクタールの土地に、イベントが開催できる広い体育館、弓道場、柔剣道場、陸上競技場を建設する計画だった。
しかし、藤澤純一前市長は「もともとは小中学生の公式の記録が取れる程度のグラウンドの計画を立てていた。それが急に他の施設が降って湧いたように加わってきた」という。
建設予定地は現在、雑木林になっており、ここに行く公共交通手段はバスしかない。それも1時間に1本という不便さだ。利便性が悪いと市民から不評のうえ、裏の思惑が市長にはあるのではという疑いも持たれた。建設予定地に隣接する場所に市長が経営する「いちはら病院」がある。運動公園ができれば公営バスが増便され、いずれは開発が進み病院にとってメリットが大きいというわけだ。もともと、費用対効果から規模が大きすぎる、分不相応という批判が根強い。
国の補助金アテにして借金だらけ
市民からノーを突きつけられた市原市長は「市民に正しい情報が届いていなかった。白紙撤回も含めて検討したい」と述べたが、では伝わらなかった「正しい情報」とは何か。岡安弥生リポーターによると、建設費305億円の原資だ。約半分は国の補助金で賄い、残り半分は地方債を発行するので、年6億円の返済でたいしたことはないというのが市側の説明だ。相変わらず国の補助金を当て込んだハコモノ計画だが、市民は「借金を孫の代まで残せない」とノーを出した。
石原良純(俳優)「国の補助金だって税金、維持費も大変だし、市民は賢いですよ」
元検事の住田裕子(弁護士)「(つくば市は)石を投げればドクターに当たるという土地柄なんです。ランニングコストは増えるし、正しい情報とは何か皆さん分かっていると思いますよ」