東芝歴代社長が陥った「儲けだけがオレの成績表」社内に無理な注文!「3日間で120億円の利益出せ」

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   東芝の辞任した3人の歴代社長が、不正会計につながる過大な要求を現場に突き付けていた実態が元幹部社員の証言で明らかになってきた。「死に物狂いでやってくれ、最低限100億円やること」「下期は黒字にすると市場に約束している」

   こうした過大な要求で、本来計上すべき損失を先送りし、意図的に利益をかさ上げすることで業績を実際より良く見せる不正が2008年以来続けられてきた。不正会計を調査した第三者委員会は、東芝の歴代トップの方針で組織的に不適切な会計処理が行われたと断定している。証券取引監視委員会も有価証券報告書などの虚偽記載にあたるとの見方を強め、東芝に課徴金を科すよう金融庁に勧告する検討を始めている。

「経理なんて言われた通りに数字をつけておけばいいんだよ」

   企業が腐るのは頭からという。その教訓を地でいったのが、辞任した西田厚聰、佐々木則夫、田中久雄の歴代社長だった。経理や会計処理をチェックする財務部門などは本来の職責を放棄、内部統制は機能していなかったと第三者委の報告書は指摘している。

   創業140年、従業員20万人という日本を代表する大企業で、いち早く社外取締役を置き外部の目で経営陣を監督する仕組みを作るなど、コーポレートガバナンス(企業統治)のトップランナーだった。内部で何が起きていたのか。なぜ社長の暴走を止められなかったのか。「クローズアップ現代」は100人を超える幹部経験者を取材し、うち20人が匿名を条件にその内情を明かした。

   東芝に異変が起きたのは西田社長時代2008年だった。その2年前の9月にリーマンショックが起こり、東芝も売上高が激減、過去最悪の3435億円の赤字に陥った。西田社長が業績を上げるように部下たちに強く迫るようになったのはこの頃だった。子会社の元社長は「西田さんのころから数字を細かく気にするようになった。社内の雰囲気が明らかにかわってしまった」という。

   東芝はパソコンや電力システムなど事業ごとに独立採算の社内カンパニー制をとっている。西田社長は月1度の「社長月例」と呼ばれる会議に各カンパニーや主要子会社の責任者を呼び、金額をあげて「利益を死守しろ」とはっぱをかけた。その後、利益をかさ上げする会計処理が行われるようになっていった。元社長はこうも言う。「西田さんがあからさまに『経理なんて言われた通りに数字をつけておけばいいんだよ』と発言し、そうした考え方が他の幹部にも広がった。当然、経理の立場は弱くなっていきました」

   不正会計は09年6月に佐々木社長にバトンタッチされ、以降はますますエスカレートしていく。その一因となったのは福島原発事故による経営環境の激変だった。経営の柱だった原子力事業の先行きが不透明になったのだ。佐々木社長は社長月例の場で「3日間で120億円の利益を出せ」などと部下に不可能な要求を迫るようになった。元取締役は「私としてもこんなことでいいのだろうかと正直思っていました。ただ、自分が何かを発言すればどうにかなるというレベルのものではなかったんです」という。

   また、この頃になると、経理をチェックすべき財務部門が社長の意を汲んで現場に圧力をかけるようになっていたという。「財務部門の社員が『社長はこの部分を攻めて来るぞ』とか『ここはきちっと準備した方がいいぞ』といったアドバイスをしてくる。社長の分身みたいな存在。社長の意に沿った数字を作ることに一生懸命になってしまった」(子会社元社長)

   他社に先駆けて作った外部の目で不正を防ぐ仕組みの監査委員会も、この頃は機能しなくなっていた。5人の委員のうち3人は社外取締役だったが、会計の専門家はいなかった。元社外取締役は「不正の発覚につながるような情報は一切提供されなかった」と証言している。

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