卵子の凍結保存に千葉県浦安市が自治体として初めて補助金を出すことになり、市内に住む20歳から34歳の女性を対象に1人3割程度の負担で検討している。卵子凍結は女性の精神的・肉体的負担に加えて、採取に70万円から100万円円、保管料に1個1年1万円かかるといわれる。
不妊治療希望者は増加傾向
不妊治療を望む人は増える傾向だが、実際の出産率は20歳で20・9%、35歳で16・3%、40歳で7・7%と年齢が高いほど低下する。卵子の老化が原因と見られ、若いうちに卵子を保存する技術に関心が高まる。プラスチックシートにのせた卵子をマイナス196度の液体窒素のタンクで瞬間凍結する。
メディカルパーク湘南の田中雄大院長は「2013年に5件、14年は27件、今年は7月までに9件。希望者は年々増えています」という。
浦安市に住む女性は「やりたいと思っています。補助金が出るなら大きいです」と話す。浦安市は「少子化対策のためにやれることは何でもやろうということです」(健康福祉部長)という。
アップル、フェイスブックは女性従業員に金銭支援
海外ではアップルやフェイスブックのように、女性従業員の卵子凍結を金銭面で支援する企業もあるが、日本ではほとんどない。都内のPR会社が補助を進めると発表して話題になった。社員の女性グループリーダーは「費用がやはり気になるポイントです」という。
ただし、卵子凍結から出産までいたるのは10%といわれ、必ずしも出産できるわけではない。日本生殖学会は40歳以上の卵子採取を推奨しないなどのガイドラインを設けている。吉村泰典前理事長は「25歳から35歳の間に自然妊娠するのがいい」と説明する。
おおたわ史絵(内科医)「卵子をとっておけるからいつでも妊娠すればいいというのではなく、凍結卵子を本当に何年後かに使う必要があるのかどうかを考えて」と強調する。
司会の加藤浩次「そこは個人差があっていいと思いますね」