新国立競技場のほかにも、東京五輪・パラリンピックのためのさまざまな競技施設の費用が膨れ上がっている。ボートコースに予定されている「海の森水上競技場」(東京・江東区)は当初69億円と見積もられていたが、その後の調査で15倍以上の1038億円に膨れ上がった。
建設エコノミストの森山高至氏は「このエリアは埋め立て地なので地盤が非常によくない。それに対する地盤・基礎の処理・工法でお金がかかってきている可能性があります」という。
東京都は一部施設建設を中止
水泳競技場の「オリンピックアクアティクスセンター」は321億円から683億円、バレーボール競技場「有明アリーナ」は176億円から404億円と軒並み倍増している。この結果、東京都が負担する競技場の建設・整備費だけでも1538億円が4584億円に増加した。
都は海の森水上競技場のレイアウトを変更して1038億円を491億円に圧縮したほか、セーリング会場「若洲オリンピックマリーナ」(414億円)、バトミントン、バスケットボール会場「夢の島ユース・プラザ・アリーナ」(880億円)の建設を中止して既存の施設を活用することにした。それでも当初より1000億円近い増額だが、実際に着工が始まるとこれで収まる保証はない。
米ボストンは市民の声で誘致断念「カネかかり過ぎる」
舛添要一都知事は「私はあとから来たから、誘致の時にはまったく関わりないわけで、誘致合戦を勝ち取るために都合の良い数字をつくったのは否めない」と、誘致活動にはしゃいでずさんな数字を計上した面々を批判した。たしかに、それいけドンドンでエージェントや設計会社、ゼネコンが水膨れさせた可能性は強い。
コメンテータの久江雅彦(共同通信編集委員兼論説委員)は「アメリカのボストン市は、お金がかかりすぎるという市民の声に押されて2024年の五輪招致を断念しています。今後、経費削減に日本がどういうふうに取り組むか。他の国からも注目されています」