住宅地に隣接した飛行場は少なくない。26日(2015年7月)に小型機が墜落した調布飛行場もその一つだ。実は1980年にもおよそ600メートル離れた中学校の校庭に離陸直後の飛行機が墜落する事故があり、地元住民からは不安の声が上がっていた。
「飛行場問題を考える市民の会」のメンバーとして危険性を訴えてきた村田キヨさんは、「近くの家を通る時、自宅の上を来る時と、2度落ちる夢を見ました。怖いという思いがあるから夢に出ちゃうんでしょうね」という。
15年前にも中学校校庭に墜落
村田さんが活動を行うきっかけとなったのは80年の墜落事故だった。夏休み中だったため生徒たちに被害はなかったが、乗っていた2人が死亡した。事故を受けて住民たちの間に飛行場移転を求める声が広がった。
こうした声を受け、東京都は飛行場利用の条件を厳しくしていた。自家用の小型飛行機については「観光」や「遊覧飛行」を認めず、パイロットの技能を維持する「慣熟飛行」のみ使用できることにした。
しかし、「クローズアップ現代」が調布飛行場を使用してきたパイロットに取材すると、「慣熟飛行」と届け出ながら、実際はレジャーで飛行するケースも少なくないという。あるパイロットはこう言う。「慣熟かそうじゃないかっていう判断については非常に曖昧ですから、実際は表向きは『慣熟』としながら実態は『レジャー飛行』であっても、明確に分けられないんです」
さらに、都が「常駐機の機体変更を原則認めない」としたため、安全性が高い新しい機体に変更できなくなってしまったという指摘もある。26日に墜落した飛行機も25年以上前の機体だ。都は当面、慣熟飛行を含めすべての自家用機の利用を自粛するよう求めている。
米国・サンタモニカ空港は滑走路延長でリスク低減
小型機墜落事故の取材を続けている平間一彰記者が言う。「調布飛行場は発着回数を減らすことで安全を担保しようとしていて、その結果、ピーク時より2割ほど発着数は減っています。ただ、実効性については疑問の声が上がっていますね」
国谷裕子キャスター「どういう安全対策が取られるべきだと思いますか」
平間記者「たとえば、アメリカ西海岸・サンタモニカにも小型機が発着する空港がありますが、ここは滑走路の長さを比較的長くとっています。そうすることで、万が一、離陸した直後にエンジンのトラブルがあったとしても、空港内に不時着できるという対策をとっています。
調布飛行場は平成13年に逆に滑走路の長さを1000メートルから800メートルに縮めているんです」
そこまでして調布に飛行場を維持する必要性とは何なんだろう。
ビレッジマン
*NHKクローズアップ現代(2015年7月27日放送「小型機がなぜ住宅に」)