静岡・富士市でおととい26日(2015年7月)に行われた「富士まつり」花火大会で花火が観客席に落ち、男女7人がやけどした。「斜め打ち」と呼ばれる打ち上げで、高度が足らなかったためらしい。
問題の花火は「富士山スターマイン」という連続打ち上げ花火で、左右に分かれてシダレのようになって夜空に消えるはずだったが、火が観客席にまで落ちてしまった。歓声は悲鳴に変わったが、連続打ち上げだから止まらない。火玉が尾を引いて次から次へと客席に降り注ぐ。よくまあケガが7人ですんだものだ。
事故影像「あれで正解なの? 完全に下に落ちてるぜ」
離れたところから撮影していた人の映像には、「あれで正解なの? 完全に下に落ちてるぜ」という声が入っていた。中学生が写した連続写真には、迫ってくる火の玉が捉えられていた。火は後ろの人に当たったという。
斜め打ちに使われるのは直径約6センチの2号玉だ。これを70メートルくらいまで打ち上げると、観客席からは花火が迫ってくる感じになる。これがねらい。風も風速2メートルで、ほぼ無風状態と好条件だった。ところが、思ったほど上がらなかったと実行委員会はいう。ために、燃え尽きる前に落ちてしまったわけだ。
花火は夏の風物詩だが、事故も絶えない。1989年には横浜・山下公園で360発が暴発して花火師2人が死亡した。2000年には岐阜・可児市で地上付近で爆発した花火が見物客を直撃して45人がやけどした。03年静岡・伊豆市で低空で爆発した花火が地上を走りまわる事故があった。
保安距離十分取らずに斜め打ち
富士市の花火は「日本一近くで見られる」が売りだった。静岡県の基準では、斜め打ちは30メートルの保安距離をとることになっていたが、それより近すぎたということか。ある花火師は「斜め打ちで30メートルじゃ短いよ。静岡の解釈は甘すぎる。客に火を向けちゃいけない」という。東京都は斜め打ちそのものを禁止している。真上に打ち上げるだけだが、それでも保安距離は40メートルである。
司会の小倉智昭「観客との距離が近いと、大きい玉は上げられないが、小さいものを数多く派手にできるのかも」
取材した阿部悦子レポーター「すごく近いなと思いました。30年続く大会で、間近で見る迫力が人気だったんです」
事故のあった「富士山スターマイン」は毎年の呼び物だったので、観客は「あれおかしい」「横に低い」と思ったという。
小倉「やはり主催者の考えが甘かったか」