新宿「ぼったくりキャバクラ」潜入記者も拒否できなかった11万円超!緩すぎる罰則で店側やり得

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東京弁護士会「ぼったくり被害110番」2万5000円で店側と交渉

   今週一番読ませたのが『週刊ポスト』の「ぼったくりキャバクラ」潜入記だった。週刊ポストによれば、東京・新宿の歌舞伎町で悪質なぼったくり被害が急増したのは昨年(2014年)の秋頃からだという。キャバクラなどで客が不当な高額料金を請求されたとすることし1~4月の110番通報は、昨年の同時期と比べて約10倍に膨れ上がっているそうだ。手口はどの店もほぼ同じだという。

   客引きが「60分のセット料金が4000円ポッキリ」などと言葉巧みに客を誘い、ホステスのドリンク代が1杯8000円、チャージが1人9万円など、セット料金以外の名目で料金を釣り上げる。警察を呼んでも「民事不介入」といって取り合ってくれないため、店側の法外な請求がまかり通っていた。

   相次ぐ被害に警視庁が重い腰を上げたのは5月下旬。悪質なケースについては都条例違反や恐喝など、さまざまな容疑で摘発を強化する緊急対策を始めたそうである。<「当局が把握していた約20ものぼったくり店のうち、13店舗を摘発。今は10店以下だ」>と週刊ポストで捜査関係者が話している。

   7月5日付の朝日新聞でも、同紙の記者がぼったくり店に潜入取材した記事が掲載されたが、「絶対に払わない」と宣言していた記者は、60分4000円といわれて入った店で約19万円を支払ってしまっている。同じ轍は踏むまいと週刊ポストの記者が潜入取材したのだが・・・。

   記者が入店したのは、60分4000円というお決まりのフレーズで誘う客引きに案内された雑居ビルの6階にある「G」という店だという。席に着くと「女性を品定めしたい衝動を抑えて以下の項目をチェックした」という。「女性のドリンクの値段 1杯5000円以上ならセット料金に含まれるハウスボトルを飲んでもらう」「テーブルチャージ 別途かかるなら店を出る」「メニュー表 都が定めたぼったくり防止条例によれば、料金は客が見える場所に提示しなければならない」

   メニュー表の値段設定をくまなくチェックしたが、特に不審な点はなかったそうだ。あとはホステスたちの「ドリンクおねだり」をどう拒むかだと意気込む。しかし、「ドリンクおねだり」を断り続けると、女性たちはほとんど口を開かなくなり、居心地が悪くなってきた。

   30分が過ぎた頃に「会計をお願い」した。すると、店長を名乗る男性が持ってきたのは、なんと15万円超の会計伝票だったという。明細には「入会金10万円」とあったそうだ。 <もちろん「聞いてないぞ!」と抵抗したが、店長は「入店時に伝えている。録音もある」という。

   彼がポケットから取り出したICレコーダーには、記者が入店し店員に案内される音声の中に、「入会金はお一人10万円になります」という店員の声が確かに入っていた。まったく聞き覚えがないので、記者に聞こえないようにICレコーダーに吹き込んだのだろう。「条例では事前に料金を提示しなければならない」と指摘すると、「お客様の目の前にあるじゃないですか」とメニュー表を指さした。

   黒革の厚いそのメニュー表は強力な磁石で貼りつけられた二枚式で、開くと入会金と、消費税を含めると48%(!)にもなる各種チャージ料が書かれていた>(週刊ポスト)

   記者がなお頑張ると、お決まりのセリフ。「お前が払わなければ親族に払ってもらう。実家まで取り立てるぞ、ゴルァー」

   記者には限界だったようだ。<入店から2時間が経過した頃、「本当にカネがない」と懇願すると、チャージ料だけ値引きしてくれた。結局11万円ほどを支払って解放された>

   警察が取り締まりを強化してもこのような店がなくならないのは、罰則が緩すぎるからだという。<「逮捕された後、客に15万円の示談金を払い、数日間拘束されただけで不起訴になった。店は一日200万円近い売り上げがあったから15万円なんて痛くない。7月中に歌舞伎町に新しい店を出し、名古屋にも進出する予定です」>とぼったくり店の店長が話す。

   青島克行弁護士がこうした場合の対策をこう話す。<「まず店員と交番に行くこと。ただし交番で助けてもらえないケースもある。東京弁護士会が設置した『ぼったくり被害110番』に電話すれば、2万5000円で店舗と交渉してくれるので、その日はその費用だけで帰れます。また、証拠を残すためにICレコーダーやスマホの録音機能などを使って店員とのやりとりを録音しておいたほうがいいでしょう」>

   古くて新しい手口だが、この手の店は雰囲気でわかる。私の後輩も酔っ払ってこうした店に入りそのまま眠ってしまった。起きたところ凄まれて10万円ほど払わされたが、これは入ったヤツが悪い。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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