なかなか味わい深い「山口組」組員たちの俳句・短歌「刑務所にいる仲間に一句」
このところ週刊誌は軒並み「夏枯れ」である。そこで私好みの『アサヒ芸能』の「菱の侠(おとこ)たちが『短歌・俳句』に込めた意地と哀愁」を取り上げる。
司忍山口組六代目の肝いりで創刊された山口組の機関誌(いわば社内報)「山口組新報」に掲載された、傘下組員からの投稿による俳句や短歌を紹介している。
「厳寒に 堪えて芽を出す 蕗の薹」
「我が道を 行けよと燃ゆる 吾亦紅」
警察の包囲網が狭まる中、組員たちの苦悩が出ていてジンとくる?
「刻まれし 墓石に思う 烈人の 春に吹かれし 一筋の道」
「秋晴れに 真っ直ぐ咲いた彼岸花 我生き様も かくありたけり」
次の句は刑務所に入っている仲間を思って詠んだものだという。
「彼の為に 残したるかの 柿ひとつ」
芥川賞作家・又吉直樹が俳人・堀本裕樹に俳句について教えを請う「芸人と俳人」(集英社)がおもしろい。いくつか又吉の句も載っているが、この人の感性のよさを窺わせる。
「銀杏をポッケに入れた報い」
「激情や 栞の如き 夜這星」
「夏の蝶はははと笑い飛びにけり」