先日、ピン芸人・松本ヒロ(元「ザ・ニュースペーパー」。1998年11月から独立)の舞台を見に行った。立川談志さんに可愛がられ、いまは反安倍政権の旗手として引っ張りだこである。
そこで森喜朗元総理の有名な「恥ずかしい英語力」のコントをやりバカ受けしていた。総理時代、森がクリントン大統領(当時)に会いに行ったとき、「How are you?」というべきところを「Who are you?」といってしまった。驚いたのはクリントン。だが、とっさのユーモアで「I'm Hillaryi's husband」と答えたら、森は「Me too」。これにはクリントン怒り狂った。
森氏はこのエピソードはねつ造だといっているようだ。だが、現役時代は「ノミの心臓、サメの脳みそ」と揶揄され、いまは永田町の「老害」といわれているぐらいだからありえると、みなが思うのは彼の「不徳」のいたすところであろう。
この『困った老害チャン』が再び「新国立競技場問題」でクローズアップされている。当初1300億円程度と考えられていた新国立建設費が2500億円以上にまで膨らんだのは、森氏が強引に東京五輪の前年に開催されるラグビーW杯を新国立で行うよう推し進めたためだと『戦犯』扱いされているのである。
『週刊新潮』は安保法案の強行採決で<内閣支持率が滝のように落ち込んでいる>安倍首相が危機感を持ち、新国立建設計画をすべて白紙に戻すことを発表したが、森氏を説得する会談では、ひたすら懇願するばかりだったと報じている。
<「この場では安倍総理と森氏が約30分、下村氏(文科相=筆者注)と遠藤氏(五輪担当相=筆者注)を交えてさらに1時間の話し合いが持たれました。安倍総理はA4のメモを示すと、ひたすら『申し訳ない』と謝るばかりだったそうです」(首相官邸関係者)>
安倍の祖父・岸信介を尊敬しているという森氏は、計画見直しをひたすら『お願いする』安倍のいい分を飲まざるを得なかったのだろう。会談後、森氏はテレビに出演して「生カキがドロッとたれたみたいで、僕はもともとあのスタイルは嫌でした。見直しはした方がいい」といい出しているが、本心ではないだろう。
安倍首相は1600億円程度に建設費を圧縮するといっているが、そうは問屋が卸しそうにない。着工前段階のデザインや設計などの契約が計約59億円に上ることが明らかになったほか、新デザイン選定や工期の短縮などで、またぞろ当初予算がどんどん膨らんでいくことが予想される。
週刊新潮よれば、この奇っ怪なデザインをしたザハ・ハディド女史に対して、事前に何の連絡もしていなかったという。ザハ女史にはすでに約13億円が支払われているが、今回のことで彼女の評判が落ちる可能性があり、そうなれば彼女が「建築家としての名誉を著しく傷つけられた」として慰謝料請求してきてもおかしくないと、東京電機大学の今川憲英教授がいっている。そうなれば慰謝料だけで最大100億円ということもあり得るというのである。
支持率挽回を狙った安倍首相だが、支持率同様、今後の見通しもはかばかしくないようだ。
韓国・元慰安婦「実名告白」おっしゃるっ通り!「韓国政府は日本とちゃんと話し合ってほしい」
『週刊文春』が韓国の元慰安婦の実名告白を掲載している。読んでみたら失礼ながら『真っ当』な記事である。この李容沫さんは、これまでもメディアに出て日本政府を批判してきたが、ここへきて身内である韓国の支援団体や韓国政府を批判していると、勇躍、週刊文春の記者は韓国・大邱市の郊外に飛んだ。
彼女のいい分は、戦後日本からの経済援助で経済発展してきた韓国政府が、慰安婦問題を解決するために日本とちゃんと話し合って、積極的にやってほしいというのである。<「ハルモニたちが生きているうちに、両国政府がきちんと話し合って、早く平和的に解決しないとダメなのです」(李さん)>
その通りである。この中で彼女は数えで16歳のある夜、日本の軍服を着た男と女の子に拉致され、大連に連れて行かれて暴行された後、台湾の新竹の慰安所で働かされたと話している。これが「軍の強制」でなくて何といおう。安倍首相が本当に日韓関係を何とかしたいのなら、慰安婦問題について朴槿恵大統領とすぐに会うべきである。
下駄の雪・公明党に元副委員長の怒り「安保法制協力は万死に値する。山口執行部は総退陣しろ」
7月23日(2015年)付の毎日新聞は、中国の習近平氏が「3つの条件」を満たせば安倍首相の訪中を受け入れると、日本側に伝えたと報じている。条件は(1)日中間の4つの政治文書の順守(2)村山談話の精神の踏襲(3)首相が靖国神社を参拝しない意向の伝達だそうだ。安倍首相には厳しい条件ばかりだが、支持率アップを何としてでもしたい安倍首相は、もしかすると条件を飲むかもしれない。
それは、ここへ来て自民党内からも「反安倍」の動きが出てきているからだ。その筆頭が石破茂地方創生担当相である。野田聖子前総務会長や小池百合子元防衛相らが「ポスト安倍」に推していると週刊文春が報じている。週刊文春の直撃でも、石破氏は出馬を否定はしなかったという。
『週刊朝日』は安保法制の強行採決について自民党中堅議員から「ホンネ」を引き出している。<「消費増税とは違い、安保法案は国民の生活に直接関わるものではない。すぐに自衛隊が派遣されるわけでもありません。時間が経てば国民の関心も薄れ、支持率も回復していくのではないか」>。時が経てば国民は忘れて怒りも静まる――。われわれは端からバカにされているのだ。
今回の暴挙に「各界から怒りの声続々」の中の元公明党副委員長・二見伸明氏(80)の公明党批判は一読に値する。<「公明党から『平和の党』という看板は完全に失われました。山口那津男代表をはじめとする執行部は、総退陣すべきです。
山口代表が1990年に初当選したあと、私の議員事務所に来て、集団的自衛権について議論したことがあります。そのとき彼は、『集団的自衛権の行使は、長い間にわたって政府が違憲と判断してきた。それを解釈改憲で認めることはできない』と話していました。(中略)それがなぜ、安倍政権の解釈改憲に賛成するのか。いつ変節してしまったのか。まったく理解できません。
今でも私と付き合いのある公明党の党員や支持者は、本心では全員が反対です。法案の意味を理解しようと思っても、意味がわからないからです。今こそ党員や支持者は、昨年7月の集団的自衛権の行使を認めた閣議決定から強行採決に至るまでの経緯を検証して、公明党執行部がどういう役割を果たしたかを総括すべきです。(中略)
それに協力した公明党の行動は、万死に値します」>
編集後記で長友佐波子編集長がこう書いている。<怒りの声特集は意外に苦戦しました。安保法制には反対でも公に政治的発言はしにくいと断る著名人が多々。人気商売の彼らは、テレビから干されれば仕事にならず、そのテレビは放送法を盾に政権に締め付けられ萎縮している。権力の仕掛けの巧妙さ。物言えば唇寒し。いつか来た道に似ていませんか>
腑抜けた国会議員と文化人といわれる腰抜けたちが安倍政権を支えているのである。
又吉直樹「火花」130万部!差別されるもう一つの受賞作羽田圭介「スクラップ・アンド・ビルド」
お笑い芸人・又吉直樹氏(35)の「火花」が芥川賞を受賞したことで部数が急伸し、130万部に迫っているそうである。私は未読だが、来月発売の『文藝春秋』に掲載されるだろうから、それまで待つつもりである。週刊文春は自社の本だから巻頭で「両親・恩師・親友が語る 又吉直樹『火花』の原点」総力特集をやっている。
もう一人の受賞作、羽田圭介氏の「スクラップ・アンド・ビルド」(文學界)も文藝春秋から発売されるのだろうが、この『差別』はどうしたことだろう。
「忘れられる権利」さいたま地裁が下した「グーグルは過去の逮捕報道削除せよ」ネット・司法関係者に衝撃
今週最大の話題は『週刊ポスト』のグーグルについての記事である。6月25日にさいたま地方裁判所が出した判決は、司法関係者の間に衝撃を与えていると報じている。大手検索サイト「グーグル」の検索結果で過去の逮捕報道が今も表示されるのは「人格権の侵害」だと、昨年A氏 (男性)がグーグル米国本社に削除を求めた仮処分申し立てに対して、さいたま地方裁判所は削除を命じたのだ。
A氏は2011年に当時16歳だった少女に金銭を支払いわいせつな行為をしたとして逮捕され、児童買春禁止法違反で罰金50万円の略式命令を受けた。それから3年以上経過してからも、検索で自分の名前を入力すると当時の逮捕報道が表示されるのは「更生を妨げられない権利(人格権)の侵害に当たる」と主張した。
グーグル側は「未成年に対して行われた悪質な犯罪で、逮捕歴は子を持つ親など社会一般の関心も高い」と反論したそうである。司法関係者がこう解説している。<「事件に歴史的、社会的な意義がなく、A氏が公人ではないことなどが判決の理由だが、逮捕報道を検索結果から削除させたことは他の関連訴訟にも影響するだろう」>
同様の訴訟提起は近年急増していて、ITに強い弁護士のところには依頼が殺到しているそうだ。サイト管理者などが削除請求に応じなければ、裁判所に「削除仮処分」の申し立てを行うことになるが、書き込みがコピーされ、拡散していればすべての管理者に削除請求しなければならない。
<「すべてのサイトに申し立てを行うのは現実的に困難です。だから、それらの『入り口』となる大手検索サイトに『検索結果の削除』を申し立てる方法が注目されています。
検索サイトの最大手といえばグーグルとヤフーですが、ヤフーはグーグルの検索エンジンを使っているので、申し立て先はグーグルに絞られる」(神田知宏弁護士)>
この問題はこれからますます深刻になってくるだろう。週刊誌には週刊新潮が始めた「あの人は今」という名ワイド特集があった。だが、よほどの大義名分がない限り、その人の「犯歴」を開示してはいけないという考えが広まり、今ではそうした企画はできなくなってしまった。だが、ネット上にはその手の情報が氾濫し、掲載されたらその人間が死んでも残ってしまう。
03年に早稲田大や東大の学生ら14人が準強姦罪で起訴された学生サークル「スーパーフリー(通称スーフリ)」による集団強姦事件が起きた。かつてそのサークルに入会していた男性が、事件とは無関係だったにもかかわらずグーグル検索でいまだに「事件に関与した元スーフリ幹部」と表示され名誉を傷つけられていると主張し、米グーグル本社に対して検索結果の削除と慰謝料を求めて12年に東京地裁に提訴した。
一審では男性側の主張が認められ、慰謝料30万円の支払いとともに検索結果の表示を禁じる判決が出たが、東京高裁判決では逆転敗訴した。<「男性側は上告し、年内にも最高裁判決が出る予定です。判決とともに注目されているのは、男性が高裁判決前に、グーグル側が削除請求に従わなければ『一日につき100万円の制裁金』を支払うよう仮処分申請を出し、裁判所が認めていることです。仮に最高裁でグーグルが負ければ提訴から約700日分、約7億円もの制裁金を男性は手にする可能性がある」(司法関係者)>
神田弁護士がこういう。<「個人の人格権を侵害するような過去をネット上から削除できる『忘れられる権利』は、罪を犯した人にもあると考えられています。ただし問題は権利を行使する人物が過去と決別し、本当に更生しているかどうか。この点が曖昧だと社会の理解は得られないままでしょう」>
これはネット社会の現在、最大の問題だと思う。どう解決するのか、できるのか、真剣な論議が必要である。