巨額の債務を抱えるギリシャをめぐってEUの溝が深まってる。今月13日(2015年7月)、「怒号が飛びかうような議論」(国谷裕子キャスター)の末に、あらたな金融支援への道が開かれたが、その過程でユーロ推進の2大大国であるドイツとフランスの間の深い亀裂が表面化した。
ヨーロッパの経済問題にくわしい竹森俊平・慶応大教授は「ドイツとフランスの対立が起こったというのは、ヨーロッパの将来にとって非常にゆゆしきこと」いう。
「ドイツ抜きであたらしいヨーロッパをつくるべきだ」
フランス、イタリアなどがギリシャの財政政策を一定評価し、穏健な対応を取ろうとしたのに対し、530億ユーロのギリシャ債権を持つ最大債権国のドイツは終始強硬な姿勢だった。ギリシャが一層の緊縮策を実行しなければ、一時的にユーロ圏から離脱させるべきだという提案までした。
竹森教授「ユーロ圏の規約には、自分から(ユーロを)出ることも、追い出されることも何も書いてないのに、ドイツが一方的にその道を示したんです。(フランスは)いままでは自分たち2人でやってると思ったのに、ドイツがどんどん勝手にルールを決めるのかと、非常に反発したのではないでしょうか」
フランス国内ではドイツへの反発が強まり、「ドイツ抜きであたらしいヨーロッパをつくるべきだ」(フランス市民)といった声もあるそうだ。
竹森教授によると、フランスとドイツはそもそも欧州統合に対する考え方が違う。ドイツは「なによりルール、財政規律を守って、そうじゃない人たちは入ってもらいたくない」が、フランスなどは「欧州統合というのはなにより夢であり、経済的にはユーロ圏に入ってよくなかったが、夢がある」という立場だ解説した。
その違いは以前からあったが、ギリシャ問題という対立のタネが出てきたことで、対立が大きくなってきたというわけだ。
*NHKクローズアップ現代(2015年7月21日放送「ギリシャ危機 深まるEUの溝」)