イスラエル首相「合意に縛られない。先制攻撃も辞さない」
合意はまた、中東情勢地図を塗り替える可能性がある。資源に恵まれ8000万人近い人口をもつイランの台頭を望まない国があるからだ。イスラエルのネタニヤフ首相は、合意を「歴史的過ちだ。世界はより危険になった。イスラエルは合意に縛られない」とはげしく非難した。イランの核開発に最も敏感で、常に「先制攻撃も辞さない」と言い続けている。
サウジアラビアも危機感を強める。サウジはイスラム教スンニ派の盟主を任ずる。対してイランはシーア派の盟主。核を持てばサウジには最大の脅威になる。2つの強国がペルシャ湾を挟んで対峙する状況は、「新たな火種」ともなりかねない。
田中浩一郎・日本エネルギー経済研究所常務理事は、「地域の新たな緊張は個別に解決するしかないでしょう。『立体バズル』は1度には解けない」という。「双方に現実主義の指導者(オバマ、ロウハニ)がいる。大切なのは米議会とイラン国内のそれぞれの強硬派に合意を潰させないことです」
イスラム思想が現実に政権を維持しているという不思議の国イラン。かつてはラフサンジャニ、いまロウハニという聖職者にして現実感覚をもつ 指導者がいることもまた不思議だが、他に選択肢はない。流れが変な方へいかないよう、ここはやはり祈るしかないか。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2015年7月16日放送「イラン核協議 『歴史的合意』の舞台裏」)