「イラン核合意」産油大国復活で中東新たな火種!警戒強めるスンニ派強国サウジ

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   イランの核開発問題で15日(2015年7月)、最終合意ができた。長年にわたる欧米VSイランの対立にロシアが加わり、中東域内の思惑もあって、「立体パズル」ともいわれた複雑な構図を対話で乗り切った。

   合意の大筋は、(1)イランは遠心分離機の削減など核開発を大幅に制限する(2)平和利用は認める(3)IAEA(国際原子力機関)の査察権限の強化(4)経済制裁の解除―である。

   合意のニュースに、テヘランでは大勢の市民が喜びの声をあげた。経済制裁による物価の高騰に長いこと苦しんでいるからだ。平和利用を認めさせたこと も、国の威信を守ったと受け止められた。制裁で凍結されていた1000億ドル(約12兆円)ともいわれる資金が動けば、原油の輸出も動き出す。本来の豊かなイランが動き出すという期待である。

過激派「イスラム国」台頭で背に腹代えられぬ欧米

   そもそもは1979年のイスラム革命である。追放したシャー(皇帝)の後ろ盾だったアメリカの大使館を革命勢力が占拠したことで両国は国交断絶し、2002年に核開発が発覚すると、ブッシュ大統領はイランを「悪の枢軸」と攻撃対象とした。国際社会は経済制裁に踏み切り、日本はイランで携わっていた中東最大級のアザデガン油田を手放さざるをえなかった。

   イランも保守強硬派のアフマディネジャド大統領は核開発をさらに進め、ホルムズ海峡の封鎖を示唆する軍事演習を繰り返した。オバマ大統領は09年に対話を呼びかけたがイランは応えず、変化が起きたのは対話路線のロウハニ大統領の登場からだ。以来2年間、粘り強い交渉が続けられて来た。

   この間に、アメリカにもイランの影響力を必要とする状況が生まれていた。アラブの春に続く中東の混乱と過激派組織イスラム 国(IS)の台頭である。

   NHKの品川健太郎テヘラン支局長は「今が最大で最後のチャンスという認識が双方にあって、結果を出す必要に迫られていた」という。とりわけISに関して、欧米諸国はシリア、イラクへの影響力の大きさから、イランとの協力関係を必要としていたという。

   合意の実行では核関連施設への査察の精度が最大のカギになる。IAEAの権限が強化され、全施設への抜き打ちの立ち入りが可能だが、テヘラン郊外の軍事施設は含まれていない。イランの「対象ではない」との主張のままになっている。

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