すべてが砂漠と化した世界で、家族を失った元警官のマックス(トム・ハーディ)は、水や植物のある砦を支配するイモータン・ジョー(ヒュー・キース・バーン)の手下「ウォーボーイズ」に「輸血袋」として捕まる。同じころ、ウォーボーイズの大隊長フィリオサ(シャーリーズ・セロン)はジョーを裏切り、ジョーの女たちと砦から逃走を図る。フィリオサたちと出会ったマックスはジョーに追われながら緑のある新たな土地を目指す。
「マッド・マックス」シリーズの4作目である。主演のマックは「ダークナイト・ライジング」のトム・ハーディが演じた。
シャーリーズ・セロン 隻腕のスキンヘッドで激しく殴り合い
上映時間120分のうち、ほとんどがマックスたちとそれを追うジョーが率いるウォーボーイズとのスピード感溢れるカーアクションシーンで、息つく暇もない。マックスが次々と湧き出るようなウォーボーイズに追われるシーンは、まるで早回しの映像を見ているようだ。家族を殺されたマックスが過去や娘の幻影を見る設定も、劇中ではあまり重視されていない。
ウォーボーイズは戦闘車に鎖と鉄仮面でマックスをつなぎ、フィリオサとジョーの女たちを追跡する。全身白塗り、病弱で輸血がないと生きられない「ウォーボーイズ」はジョーに洗脳されている。「死こそ英雄になれる唯一の手段」と信じ込んでいるのだ。顔面を数本の矢が貫通しても「まだやれるぞ!」と仲間に励まされ、口元を銀色に染めながら両手に銛を握りしめて相手の車へダイブして炎に包まれる。その瞬間「よく死んだー!」と仲間からは喝采が起こる。実に狂っている。
しかし、狂った世界で美しく輝いているのが、ジョーの子供を産むために囚われていた女たちだ。「本物の人間なの?」といわれるほど美しく、汚れたボロを着ていてもスタイル抜群の美女たちは、砂漠と血なまぐさいお話の中で際立つ。左腕義手のフィリオサを演じたシャーローズ・セロンは、これまでも役になりきる女優であったが、今回はスキンヘッドで激しい殴り合いを演じている。
映像のインパクトは強烈だ。ウォーボーイズを始めとするキャラクターのビジュアルも実に面白い。CGを使わず、トラックをひっくり返し、トレーラーを爆破し、オートバイを潰ぶす。作り手側もマッド・マックスのマッドな世界に浸りきっているようだ。
PEKO
おススメ度☆☆☆☆