岩手県矢巾町のJR東北線矢幅駅で5日(2015年7月)、中学2年生の男子生徒(13)が列車にはねられ死亡した。県警では自殺とみて調べているが、男子生徒と担任がやり取りしていた「生活記録ノート」には、いじめにあい自殺をほのめかす言葉が書き込まれていた。
生活記録ノートで担任にたびたび相談
男子生徒は2年生に進級した4月以降、「生活記録ノート」に同級生から悪口や暴力などのいじめを受けていると書き、6月下旬になると「もう生きるのにつかれてきたような気がします。氏(死)んでいいですか?」「もう市(死)ぬ場所はきまっているんです」と書くようになった。
男子生徒の後輩とその母親は「仲間外れにされていて、毎日泣いて帰っていた」「一人でとぼとぼ帰ってくる姿を何度も見ていたので、お父さんに何度か言ったんですよ」と話す。
しかし、父親はこういう。「嫌な奴がいるから学校に行きたくないとは聞いていた。でも、私と一緒にいるときはいつも笑っていました。こんなに悩んでいるとは知りませんでした。実際に、同じクラスの同級生に聞いたら、髪を掴まれて机に顔を打ちつけられたり、後ろから頭に向けてバスケットボールを投げぶつけるなど皆に遊ばれていたみたいです」「こんなに悩んでいるとは分からなかった。誰が見てもいつ死んでもおかしくない状況だったのに、連絡ひとつなかった。許せない」
保護者会の校長まるで他人事「いじめがあったとすれば・・・」
学校側は7日夕に保護者説明会を開いた。校長が男子生徒の亡くなった事実を報告したが、いじめの有無については明らかにしなかった。出席した保護者からは「校長から謝罪の言葉もなかったし、誠意が感じられなかった」と批判の声が出た。
説明会が終わった後、会見した校長からは「いじめがあったとすれば、きちんと全容を確認したうえで進めていきたいと思っている」と他人事のようなトンチンカンなコメントが返ってきた。
久江雅彦(共同通信編集委員兼論説委員)は「学校と家庭の連絡を考える要素が多分にある」と話したが、男子生徒からいじめ自殺の直接的なサインがあったにもかかわらず、それを汲み取れなかった学校側の問題が大きい。