マタハラ(マタニティ・ハラスメント)を受けたという女性5人がきのう24日(2015年6月)、厚生労働省で記者会見して実態を語った。6歳と3歳の子を持ち関西の鉄道会社に勤めていた36歳の女性は、勤務時間変更を申し出ると、役員に呼ばれ「あなたの家庭のことなんか知らない。働きたいなら自分でなんとかしなさい。辞めなしゃあないのとちゃう」と言われたと話す。
介護施設職員(34)は妊娠6か月とわかったとき、「契約を更新しない」「妊婦として扱わない」と言われ、悪いことでもしているのかと気がめいったという。2人を出産した臨床心理士(40)はそのたびにマタハラを受けた。給与明細に「育児を優先してください」と書いた紙が入っていたこともある。匿名だったが、書いた人がわかったので問いただすと「何が悪い」と平然としていた。切迫流産で一時休職後に職場復帰すると、女性上司に「もう1度流産したら許さない」と言われた。
いずれ正社員に復帰できるという但し書きがあったので、妊娠を理由に契約社員になることを受け入れた女性(33)は、勤務を週3日、給料を5分の1に減らされた。復帰を拒否され、男性上司は「俺は彼女が妊娠したら、自分の稼ぎで食わせていくぐらいのつもりでやる」と非難されたという。
厚労省への相談急増
厚生労働省へのマタハラ相談は年々増えて、平成26年度は3591件あった。いったん退職すると保育園に入れない、子育てに時間をとられて就職活動もできない、復帰がむずかしなるというマタハラドミノも問題だ。
一方で、周囲にさまざまな影響があることも確かだ。同じ職場の女性が妊娠したというパート保育士は「ぎりぎりの数でやっているので、1人減ると業務が回らなくなる」と現状を語る。女性教諭が妊娠休暇をとるという30歳代の女性保護者は「そのクラスでなくてよかったと思ってしまいます」と打ち明ける。
女性経営者は「わかってあげたいけど、他のスタッフにしわよせがいってしまう。誰かが仕事を負担することを十分に自覚して」。静岡県の男性経営者は「やっていた仕事を分解して派遣、同僚、外部委託で対応している」という。
司会の加藤浩次「上司が明らかにおかしい場合と、会社と本質的な考え方がちがうケースがある。古い体質の考え方を1回払拭しなければいけないとは思いますけどね」