「自然保護に1日1円の新たな税制が検討されているんです」と、司会の夏目三久が日本経済新聞の記事を取り上げた。環境省は全国民に毎日1円ずつ住民税に上乗せする方法で薄く広く負担を求め、企業の拠出分も合わせて年間1000億円近くを確保し、森林や河川の保全、植林、干潟の再生など自然保護活動に当てることを検討中だという。2018年度からの導入を目指している。
はじめに『金集めありき』家庭で死蔵されてる1円玉狙い?
「具体的に見えてこないんですよねえ」という夏目の疑問に、コメンテーターの久江雅彦(共同通信編集委員兼論説委員)がこう解説した。「1日1円で自然保護に使うという、響きとしては聞こえがいいですが、具体的な姿が見えないですね。そもそも、なんで今の税収からひねり出せないのか。制度設計をまず明確にしないと、『はじめにお金集めありきじゃないか』と批判を招くことになります」
1円硬貨が家庭に死蔵されていることから思付いたのか、「広く薄く負担を求める」という発想が安易すぎる。そもそも、森林保全は林野庁の管轄だし、河川保全は国土交通省の管轄のはずだ。具体的に何をやるのかも見えてこない。
先送りされた10%の消費増税が2017年4月から実施される予定で、今後はいかに歳出を減らすか求められるなか、安易な税の創設など許される状況ではない。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト