おととい20日(2015年6月)に行なわれた映画「愛を積むひと」の舞台挨拶で、主演の佐藤浩市が突然涙をボロボロ流した。映画は第2の人生として北海道に移り住んだ夫婦の物語で、これからというときに樋口可南子演ずる妻が亡くなってしまう。その後、亡くなった妻からの手紙が次々に見つかって、手紙に導かれて夫は生きる希望を見いだすというものだ。
「自分が死んだら保険金で好きな映画をつくってね」
キーワードは「妻からの手紙」ということで、舞台挨拶で佐藤の奥さん(会場にいた)からの手紙が披露された。司会からいわれた佐藤は「うちの?」とけげんな顔をし、手紙を手にした樋口は「そう、読ませていただきます」。佐藤は「いいですよ」と照れる。
内容がすごかった。「結婚した当初、身体があまり丈夫でない私は、『自分が死んだら保険金で好きな映画をつくってね』と、あなたにいったことがありました。勿論、当時はまだ若く、死という存在が遠くにありました」
ここまで読んで樋口は絶句、目には涙。
「でも、自分が浩市さんよりも先に逝ってしまうような気がしたのは本当です。今の私は違います。役者の仕事しかできない浩市さん。(中略)私は浩市さんを1人にしないように、浩市さんよりも1日でも長く生きることを約束します」
佐藤も目を潤ませて涙をぬぐった。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト