マーガリンやチョコクリームなどに使われるトランス脂肪酸について、アメリカのFDA(食品医薬品局)は16日(2015年6月)に「安全ではない」と判定し、3年以内にトランス脂肪酸を含む食品添加物を全廃するよう通達した。
心臓疾患などの原因とされるトランス脂肪酸について、日本では食品への表示もされていない。
肥満、動脈疾患、心臓病と強い関連性
トランス脂肪酸は液体の油を固形に加工して作られる脂質の一種である。マーガリンや菓子やパンに使われるショートニング、デニッシュなどに利用されている。
アメリカではこれが肥満、動脈疾患、心臓病と強い関連性があると判断され、06年からトランス脂肪酸の食品中の含有量表示を義務付けている。WHO(世界保健機関)もトランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満にするよう勧告している。
日本は表示義務もなし
日本ではスーパーのバター売り場には、品切れのバターに代わりマーガリンがところ狭しと並んでいるし、パンの売り場では菓子パン類が売れている。WHOの勧告に日本のどんな対応をしているのだろう。内閣府の機関で食品安全行政を行う食品安全委員会は、トランス脂肪酸の日本人平均摂取量を0.3%と推計しており、「摂取量が少なく通常の生活では健康への影響は少ない。今のところ評価を見直すことは考えにくい」という。
ただ、「あさチャン!」の取材に浅尾貴子・管理栄養士は「0.3%の推計はあくまで平均値なので、何かをたくさん食べるということは避けた方がいい」と指摘する。番組が伝えた日本の対応はここまで。コメンテーターに厚生労働省担当記者の長い牧嶋博子・TBS解説委員が出演したのだから、トランス脂肪酸の表示を義務づけるべきだぐらいのコメントがほしかった。