あざとさ、安っぽい結末、ご都合主義・・・20年前の野島ドラマそのまま
野島が目指したハッピーなラストも、知能が元に戻ってしまった咲人と、友人2人がアルジャーノン(実験に使われたハツカネズミ)のお墓の前で再会し、3人でハンバーガー屋を始めるという大急ぎで作ったような仕上がりである。あざとさ、安っぽい結末、不治の病がパッと治るご都合主義など、どれも野島ドラマの真骨頂に思え、既視感あって食傷気味。ここぞという場面で大音量で流れる名曲「ローズ」(ベット・ミドラー)も、好きだったのに、危うく嫌いになりかけてしまったぞ。
野島ドラマが人気だった時代(1995年あたりか)と違って、今の視聴者はテレビドラマの結末について議論するほど暇じゃないし、衝撃的なもの、残酷なものを見せれば深いドラマだと思うほど単純でもない。
古典はやっぱり改ざんしてはいけません。悲しくとも原作どおりのラストにしていれば、いや少なくとも「知性が幸せをもたらすか」というテーマに忠実にストーリーを運べば、窪田正孝、谷村美月、石丸幹二など芸達者を集めたのだから、心に響くドラマになったはず。残念だ。
文
カモノ・ハシ