200以上の法律が「成人は20歳以上」
では、18歳に引き下げる公職選挙法の改正が成立すると、どんな矛盾が生じるのか。たとえば、18歳の高校生がかねて支持していた候補者の選挙運動に参加し、選対本部から青年部のリーダーに任命されたとする。高校生はさっそく選挙運動を開始し、友達40人に投票を依頼、見返りに貴重なフィギュアをプレゼントした。選挙後にこのことが発覚して選挙法違反で逮捕されてしまった。この場合、少年法が適用されるのかどうか。少年法は14歳以上の未成年は大人同様の刑事処分ではなく、家庭裁判所へ送致されると規定している。
そこで野村教授はこんな疑問を投げかける。「考えねばならないのは、少年法で処分を軽くするとなった場合、未成年という立場を利用した違反を助長させる可能性が出てくる」 今回の改正では「一部大人扱い」と見なされ、大人同様の処分を適用することになっているようだが、野村教授によると20歳以上を成人とみなしている法律が200以上もあり、さまざまなところで矛盾が生じる可能性があるという。
野村教授は「今回の改正は成人とは何かを考える第一歩に過ぎない。これら法律全体を改正していくことを検討していかねばならないが、飲酒や喫煙年齢を18歳に引き下げる必要があるのかという意見もあり、慎重に考える必要があります」と指摘する。
文
モンブラン