韓国のMERS(中東呼吸器症候群)の感染拡大が止まらない。週末にはついに4次感染者が出て、死者15人、感染者145人、隔離4856人になった。WHO(世界保健機関)は「なお感染が増える可能性がある」としており、主たる原因を「ドクター・ショッピング」にあるとした。あまり聞いたことがない言葉だ。
感染者は病院を転々!『新病』診断できなかった医者たち
MERSが完治した77歳の女性がいた。8日間の集中治療の結果だという。話を聞くと、高熱、発汗、ものすごい咳が続いたという。だが、「エッ?」と思うことがあった。女性が最初に異変を感じたのが先月(2015年5月)の中旬のことで、病院を転々とした末にソウル大学病院でMERSと判明したという。ここで8日間の治療で治ったとすると、その前の半月近く、ウイルスをまき散らしながら外出し、病院に行っていたことになる。こうした患者が病院を次々に受診するのが「ドクターショッピング」だ。
もうひとつ、感染拡大の原因になったのが見舞客だ。韓国では親戚や知人が入院すると大勢が見舞に訪れる。さらに、病室に患者を詰め込みすぎという指摘が以前からあって、これも院内感染の原因になった。
きのう14日(2015年6月)、南部の釜山で62歳の男性が死亡した。ソウルから400キロ離れていて、感染は韓国全土に広がったとみていい。また、新たな感染者の1人は救急車の運転手の男性(70)で、初めての4次感染だった。
最初の感染者は中東から帰国した男性(68)だ。かれも病院をいくつか経て平沢市の病院でMERSとわかった。ここで35歳の男性に感染(2次)、この男性がソウルのサムスンソウル病院を受診し、ここで75歳の女性が感染(3次)した。女性が救急搬送されたとき、運転していたのが4次感染の男性だった。運転手は感染後も76人の搬送に携わっていた。
MERS詐欺まで出没
いま、街路でも劇場、地下鉄でも大規模な消毒作業が続けられていて、人通りも少なく、市民はなるべく外出の機会を減らそうとネットショッピングや出前に走る。仁川空港は中国からの観光客が2万人から400人へと激減した。中国で開幕した上海国際映画祭では、韓国の人気俳優チャン・ド ンゴンさんの参加が見送られ、朴大統領も訪米を中止した。
司会の小倉智昭「140人を超える感染者の半分がソウルのサムスン病院で感染しているのに、つい最近まで外来を受けつけていたんですよね」
森本さやかアナ「ここへきてようやく受けつけませんとなりました」
小倉「公共の場の消毒がかなり乱暴に見えますね」
石戸奈々子(慶応大准教授)「あのほうが身体に悪いかも」
MERSの治療には国が金を出すというので、MERS詐欺まで出ているという。